HKT48センター・矢吹奈子「環境によって人は変わる。でも、私は変わりたくない」
福岡を拠点とするアイドルグループ「HKT48」のエース・矢吹奈子(21)を独占直撃! 最新シングルでセンターを務めれば、ドラマやバラエティー、モデルとしても大活躍。福岡、熊本で先行公開中の映画「向田理髪店」(主演・高橋克実、14日から全国公開)では、国民的アイドル役で新境地を見せている。海外での活動経験、多忙な日々に身を置いても「考え方や内面を変えたくない」と語る理由とは――。時に涙を見せながら成長を止めない〝アイドル・矢吹奈子〟の魅力に迫った。
――「向田理髪店」は、直木賞作家・奥田英朗氏の同名小説が原作。元炭鉱の町・筑沢町にある理髪店の親子の葛藤を軸に、過疎化、少子高齢化など地方が抱える問題に直面しながらも懸命に生きる人々の姿を描く。矢吹さんが演じているのは、国民的アイドル・大原零役。偉い人に媚を売る表裏のあるキャラクターですね
矢吹 台本をいただいたらすごく裏表ある役でした(笑い)。人によって態度を変えたり、自分のことを「クソ野郎」と言ったり。戸惑いもちょっとはあったんですけど、演じたら楽しくなりましたね。
――素のキャラが同じだったら心配だなと…
矢吹 実際の私は違いますよ! でも、見ている人にそう思ってもらえたらうれしいです。殺人犯役の演技をする方が、役を離れても実際に怖く見えたりするじゃないですか? 演技の上手な方に憧れているので、私もそうなれたらって思います。
――同作の劇中劇ではガンアクションもあり、恋人役の本宮泰風さんをベッドに押し倒すシーンにも挑戦した
矢吹 妹とかに練習をお願いすることも恥ずかしさからできなくて(苦笑い)。リハーサルのときに監督に指導していただきました。本当に緊張しましたね…。上手くできているのか分からないし、最初は自然に見えてるかなと不安が大きかったですね。
――昨年は「顔だけ先生」(フジテレビ系)で連ドラ初出演。女優としても活躍している
矢吹 今回の大原零役も演じてすごく楽しかったですし、スタッフさんからも撮影後に「お芝居、好きなの?」「演じてるときにお芝居が好きなのが伝わってきた」と言っていただいて。改めて自分は演じることが好きなんだなと感じることができました。いつか映画のヒロイン役をやってみたい。いろんな役に挑戦して、夢に向かって頑張っていきたいです。
――映画では「変わりゆく街」で「変わらない人々」を描いている。東京出身の矢吹さんは福岡・博多のグループに加入し、日韓ガールズグループ・IZ*ONEのメンバーとしての日本を離れ、海外で活動した経験がある。共感する部分もあったのでは
矢吹 これを言うと生々しいですけど、環境によって人間も変わっていっちゃうじゃないですか。でも、私は人として考え方とか内面の部分はあまり変わりたくない、変えたくないという思いが昔からずっとあるんです。そういう部分を映画にも感じましたね
――変えたくない部分とは
矢吹 どう表現すればいいのか難しいんですけど、自分のことを過大評価しないように、というか。大きな態度を取らないとか、そういうところなんですけど。いろいろな経験をさせていただいていて…変わっていっちゃう部分はあると思うんですけど、自分ではそういう部分は絶対に変えたくないなと思います。
――4~7月のHKT48全国ツアーでは〝座長〟を務めた。今月16日には千葉・幕張メッセでのライブも控える
矢吹 センターへのプレッシャーはそれほどなかったんですけど、ライブはありましたね…。全国ツアーに向けてメンバーみんなで話し合ったときに、こみ上げているものがあって「自分はこんなにツアーに思いをかけているんだな」って。ツアー初日が終わった後も涙が止まらなくなったりした。ツイッターにファンの皆さんが感想を書いてくださっていたのを見たとき、ほっとしたというのが大きくて。声が出せない環境で、自分の目の前にいた先輩方もどんどん卒業されて、〝座長〟として先頭に立って引っ張っていくことが初めてだった。背負ってるものが大きかったのかなって思います。
――どの仕事も全力でこなす姿が印象的だ
矢吹 どれも精一杯やりたいんです。どのお仕事も順位もつけたくないですし、たまに頑張りすぎてちょっと爆発しちゃうときはあるんですけど(笑い)。でも、本当にどのお仕事も「好き」で「楽しい」。だからこそずっとできているのかもしれないし、好きじゃないと続けられてないと思います。不安もあるけど、悪い不安ではなくて。周りのメンバーもついてきてくれる。みんなのおかげもあって、私も先頭に立って引っ張っていくぞという気持ちになれていると思いますね。
――今後の目標は
矢吹 HKT48は11月に11周年を迎えるので、もっともっと成長する姿を見せたい。6期生が入って後輩が増えて、一緒にリハをしててもすごく熱量を感じる。その姿を見て自分も頑張らなきゃと思いますし、お互い刺激し合える存在になれたら。あとは、HKT48はいい意味でも悪い意味でも仲が良すぎてあまり喧嘩もしないですし、その一方で誰かがビシ!っと言うことがなかったりする。私はそんなときにひと言でみんなのことを引き締められる存在になりたい。
――強く言えないタイプ?
矢吹 心の中ではたくさんあるんですけど、それを出すのが目標です。どこかで嫌われるんじゃないかなと不安があったりするんでしょうね。でも、グループのために…言いたいなって思っています。