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【GPT机翻】战国小町苦劳谭 (戦国小町苦労譚)- 125 [千五百七十五年 四月下旬]

2023-05-01 00:21 作者:爱吃果冻的沙耶  | 我要投稿

书名 战国小町苦劳谭

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作者: 夹竹桃

原作:http://ncode.syosetu.com/n8406bm/

翻译工具:ChatGPT

*机器输出的翻译结果UP未做任何修正,仅供试阅。标题章节号为原翻译版的顺延。*

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千五百七十五年 四月下旬(*原文网页序列号 - 142)

騒動の原因は伊勢の情勢にあった。北伊勢は神戸(かんべ)具盛(とももり)の養子、信孝(のぶたか)が治めている。一方南伊勢を治めるのは伊勢国司、北畠(きたばたけ)具房(ともふさ)の養子となった信雄(のぶかつ)であった。


骚动的原因在于伊势的局势。北伊势由神户具盛的养子信孝治理。另一方面,统治南伊势的是伊势国司北畠具房的养子信雄。


当初伊勢一帯の開発が持ち上がった際、北伊勢を治める信孝のみが参画の意を示した。計画は順調に進められ、美濃・尾張・北伊勢を繋ぐ経済圏を開発することで話は纏まりつつあった。


最初伊势地区的开发提出时,只有治理北伊势的信孝表示参与的意愿。计划进展顺利,计划开发连结美濃、尾张、北伊势的经济区,事情正在进展中。


そこへ唐突に信雄が待ったを掛けた。今更になって難癖を付ける信雄の態度に、信孝は激怒した。しかし信雄は涼しい顔で、この開発は伊勢全土に影響を及ぼすため、自分を外されては困ると言ってのけた。


突然间,信雄拦住了他。看到信雄现在开始刁难,信孝非常生气。但信雄脸上仍然保持着冷静的表情,他说这项开发会对整个伊势产生影响,自己被排除在外是不能接受的。


元より互いにそれぞれの事を良く思っておらず、更に領地の国境が接していることもあり、何かと利害関係で揉めることが多く、二人の仲が険悪だというのは周知の事実だ。


双方从一开始就彼此不太想对方好,加上领地国界相接,经常会因利益关系而引起争执,两人关系紧张是众所周知的事实。


開発立ち上げ段階の各所に対する調整や、開発地域一帯の調査費用などの一切を負担せず、事業が動き始める頃になってタダ乗りさせろとは虫の良過ぎる話であり、信孝が憤慨するのも無理からぬことであった。


在开发启动阶段,不需要为各个部分进行调整,也不需要承担开发地区的调查费用,在业务开始运作时就让其免费使用,这是一个完全不现实的话题,信孝感到愤怒也是情有可原的。


信孝と信雄は真正面から対立し、瞬く間に互いの配下をも巻き込んだ大喧嘩へと発展した。開発事業の総まとめ役である信忠が、二人を諫めようと手を尽くしたが、二人ともが互いに相手を計画から排除しない限り、一切の譲歩をしないと頑迷に言い張った。


信孝和信雄正面对抗,迅速卷入彼此手下的大争斗。信忠作为开发事业的总负责人,尽力劝止两人,但是他们都固执地坚持除非把对方从计划中排除,否则不做任何妥协。


ほとほと困り果てた信忠は、安土へ移った信長に仲裁を願い出た。信長としては信忠の器量を見極めたいという思惑もあったが、黒鍬衆をはじめとする多くの人・物・金が動員されており、それらを無為に遊ばせることはできなかった。


彻底困扰的信忠请求了前往安土的信长进行调解。虽然信长想要看清信忠的素质,但是需要动员许多人、物和金钱来达成目的,因此不能让它们白白浪费。


最終的に信長は信孝、信雄両名に対して朱印状を発し、信雄に対しては「己の不明で出遅れておきながら、濡れ手で粟を掴もうとするなど言語道断。先人が払った対価に見合うだけの出資をして、はじめて同じ土俵に立てると心得よ」と諫め、信孝に対しては「同舟(どうしゅう)相救(あいすく)うとの言葉があるように、日頃反目し合っていても、同じ目的を得れば協力できるもの。見事成果を出して己の器量を示してみせよ」と説いた。


最终,信长向信孝和信雄发出了赤印状,对信雄说:“你落后于情况,想轻易取得成功是不可能的。只有作出足以与前人付出相当的出资,才能与他们并列。”对信孝说:“就像有共舟相救的话一样,即使平时彼此反感,只要有同样的目的,也可以合作。通过创造出色的成果来展示你的能力。”


流石の二人も信長からの仲裁を無視することなど出来ようはずもなく、即座に矛を収めたものの、万事解決とはいかなかった。


即使是这两个人,也无法忽略信长的调解,立即平息了矛盾,但并没有解决问题。


「結果的に北伊勢は立地を考慮して人員を送り、南伊勢は先行投資分も含めて余分にお金を出すということで落ち着いたけど、信孝と信雄の仲が悪いって言うのは本当だったんだね」


“北伊势考虑到地理位置,派遣了人员;南伊势则额外投资并出钱解决了问题。但据说信孝和信雄的关系不好,这是真的。”


今回の件でも露呈したように、信雄は道理を弁えぬ『うつけもの』と評される一方、信孝は堅実に実績を積み上げ、徐々にではあるが頭角を現しつつあった。


正如这次事件所展示的那样,信雄被评价为一个不明理的“愚蠢之人”,而信孝则一直在稳健地积累经验,在逐渐展现自己的实力。


しかし、悲しいかな戦国の世の序列に於いては、常に信雄の後塵を拝していた。目に見える形で己が実力を示してもなお、評価されないことに信孝は不満を抱いていた。


然而,可悲的是,在战国时代的社会等级中,信孝总是望着信雄落后。即使显露自己的实力,信孝仍然感到不满被低估。


信孝の評価が不当に低い訳ではなく、事あるごとに信雄と対立し、面倒ごとを起こすため功績が相殺されているという事実に、彼は気付けていなかった。


信孝的评价并不是不当地低,他因为经常与信雄对立,引起麻烦,因此成就被抵消了,而他并没有意识到这个事实。


今回の開発に際しても率先して名乗り出たのは、信雄を出し抜かんとした意図が多分に含まれている。


在这次开发中率先自荐的人,很可能包含了想要超越信雄的意图。


「北伊勢を繁栄させ、南伊勢との差を明らかにし、今度こそ序列を塗り替えようと企んだのかな?」


「是想让北伊势繁荣起来,明确与南伊势的差异,然后重新改写排行榜吗?」


兄弟が起こす骨肉の争いを調停するため骨を折った静子は、その実りの少なさに大きなため息をつかざるを得なかった。


为了调解兄弟间引发的骨肉之争,静子付出了很大的努力,但是结果却很不理想,让她不禁叹息不已。


尾張全域に配布する尾張米の苗が青々と色付く三月。黄色く焼けて枯れることもなく、区画ごとに生育状況を揃えられた苗たちが並んでいる。


尾張大米的嫩苗在三月份开始呈现翠绿色。不会变成黄色或枯萎,每个区域都有相同的生长情况,并且有很多嫩苗并列。


信長の命により尾張全域へと栽培規模が拡大されたため、扱う苗の数が従来とは桁違いとなっていた。搬送や作付けの日取りを考慮して、少しずつ生育状況をずらして育てられた苗が用意され、それぞれの田植え時期になると順次出荷されていく。


由于信长的命令,尾张全域的种植规模得以扩大,因此所处理的幼苗数量与过去相比相差十万八千里。为了考虑运输和种植时间,苗子们被逐渐地培育和准备好,等到各自的插秧时间,就会陆续发货。


かつて静子が村長に就任した最初の村に端を発した人力田植え機も、多くの人々が利用することでより洗練されたものへと進化していた。


曾经在静子成为村长的第一个村庄中,由人力驱动的插秧机也因为许多人的使用而进化为更精致的设备。


初期型の物と比較して大型化し、牛に牽かせることを前提とした6条植えの畜力田植え機と、逆に小型軽量化を推し進め、シンプルで壊れにくい従来通りの2条植え人力田植え機の2系統へと分かれていた。


最初的型号相比变得更大,适合用牛拉,是6排畜力田间作机。而另一方面则强调小型轻量化,仍然是2排人力田间作机,简单耐用,这样就分成了两个系列。


区画整理の都合で傾斜地や棚田、変形した田などでは専ら人力田植え機が用いられ、規格化された大きさの大型圃場では畜力田植え機が活躍している。


由于区域规划需要,斜坡地、梯田和形态不规则的田地通常使用手动插秧机,而规模较大且规格化的田地则使用畜力插秧机。


6条植えの畜力田植え機は言うに及ばず、人力田植え機ですら慣れた人間が用いれば、1ヘクタールの土地に対する植え付けを一日でこなせる。


六条种植机不用说,连手动种植机都只要有经验的人使用,就可以在一天内完成一公顷土地的种植。


これは旧来の完全手作業と比較して、実に7倍近い効率を叩きだし、畜力のものに至っては10倍を超える。これらの農機具は織田家と契約を結び、適切に運用するならば無料で利用することが出来た。


这些农具与传统完全手工作业相比,产出效率提高了近七倍,对于畜力驱动的农具甚至可以超过十倍效率。这些农具可以与织田家签订合同,在合适的使用条件下,可以免费使用。


無論無制限という訳にはいかず、村の作付け規模に依って貸し出される数の上限が決まっている。しかし、必要数を借り受けて、適切な人数が一斉に植え付けを行えば、一週間程度で全ての土地に植え付け出来るよう配慮されていた。


不可能无限制地租借,租借数量的上限根据村庄的耕作规模而定。但是,只要借用所需数量,适当数量的人可以同时进行植树,就能在约一周时间内将所有土地都种上。


尾張と他国を比較した際に、人口当たりの作付面積が数倍という規模になっているにも関わらず、農作業が破綻しない絡繰りがここにあった。


与尾張和其他国家相比,尽管每个人的种植面积比例是数倍,但这里有一种巧妙的组合方式,使农业生产没有崩溃。


「流石に尾張全域へ行き渡らせるとなると、規模が桁違いになるねえ」


「如果要让它在整个尾張地区普及开来,规模就会天差地别啊。」


田植え機に合わせて規格化された苗箱が整然と並び、貸し出される農機具がずらりと並んでいる様を見て静子が独り言(ご)ちた。


看着按照田植机规格化的苗箱整齐地排列着,出租的农机具也整齐地排成一行,静子喃喃自语。


当初よりいつかは尾張全域への拡大を視野に入れて計画されていただけに、貸し出される農機具類の数は余裕を以て準備されている。


由于最初就考虑到将来可能会扩大到整个尾张地区,因此租出的农机具数量已经充分准备好了。


作付け規模の拡大自体は、今回で二度目の試(こころ)みとなるため、初回時のような混乱は回避できると見込んでいる。運用する上で発生する大部分の不都合は前回で対応できているため、今回の作業に不安は少なかった。


扩大种植规模本身是第二次尝试,因此预计可以避免像第一次那样的混乱。在运营过程中出现的大多数不便都已经得到了解决,因此在这次工作中没有太多的不安。


尾張米の作付けについては、尾張のみに制限されるものの、尾張方式の農法については、いずれ尾張全土から中部地方全域へ、更には近江や越前なども含めた織田家の支配地全土へと順次展開が予定されている。


关于尾張米的种植,虽然限制在尾張地区,但是尾張农法的方式会逐步展开到整个中部地区,甚至包括織田家的统治领土近江和越前等地。


言うなれば全国展開の試金石となる試みだけに、織田家家中の有力者たちが注視しており、失敗の許されない計画でもあった。


说起来,这是一项可以成为全国范围试金石的尝试,因此织田家族中的有力人物正在密切关注,并且这也是一个不容许失败的计划。


「大きな問題点は前回で洗い出せたし、不測の事態が発生しても前回を経験している優秀なスタッフがいるから安心だけど、それでも油断は禁物だね」


“虽然我们已经在上一次中发现了重大的问题,而且我们也有经验丰富的员工可以处理突发情况,但仍然不能掉以轻心。”


そう口に出して呟き、覚悟を決めた静子だが、結果的に静子の心配は杞憂(きゆう)となった。運搬途中の事故で一部の苗が廃棄処分となったものの、予備の苗で賄える分量であったため大過なく植え付けを終えることができた。


喃喃自语着决定下定决心的静子,但结果证明她的担心是多余的。虽然在运输途中发生了事故导致一部分苗木被废弃处理,但由于备用苗木足够,能够用足够的数量完成植树工作,大事化小了。


四月下旬、順調だった作付けと対照的に、またしても伊勢開発で問題が発生した。


四月下旬,与顺利的种植相反,伊势开发再次出现了问题。


信長の調停を以て、ようやく動き始めた美濃・尾張・伊勢包括経済圏構想だが、計画始動に際する会合の場に信雄の姿はなかった。


以信长调停为契机,美濃、尾张、伊势综合经济圈规划方案终于开始实施,然而在启动会议上,信雄并未出现。


関係者全員のスケジュールを調整した上で日程が組まれ、必ず本人が出席することを念押しした上での会合であったにも関わらず、信雄は名代を立てて欠席していた。


尽管在协调所有相关人员的日程后进行了安排,并强调了必须本人出席的会议,信雄却委派代表缺席了。


名代によって届けられた文には、領地で問題が発生し、領主である信雄でなければ対処できないゆえ、やむを得ず欠席したいと綴られていたが、それを額面通り受け取るものはいなかった。


代表递交的文书中写道,领地上出现了问题,只有领主信雄能够处理,因此不得不缺席,但是没有人完全相信这句话。


特に信孝は憤懣(ふんまん)やるかたない様子を隠そうともせず、他の参加者も似たような思いを抱えていた。


特别是信孝,即使试图掩饰自己愤懑难平的样子,其他参与者也怀着类似的感受。


(自分から一枚噛ませろと言い出したのに、こうも無責任な態度だと流石に器量を疑われるよねえ)


(明明是自己说要咬一口,现在却表现得这么不负责任,真的让人怀疑你的素质啊)


信忠と共に尾張代表として参加している静子は、信孝が漏らす信雄への愚痴を聞き流しながら、信雄の真意について考えてみた。


信子作为尾张代表与信忠一起参加比赛,听信孝对信雄的抱怨淡然置之,思考信雄的真意。


まず信雄の人物評として、伝え聞こえてくる限りでは、良い噂は殆どない。日頃は政務を配下に丸投げし、一切関わろうとしないのだが、時折思い出したかのように口を挟み、現場を混乱させていた。


首先,就信雄的人物评价而言,据听说几乎没有好的传闻。平时他把政务完全放手给下属,不想干涉任何事情,但偶尔突然插话,让现场混乱不堪。


先代である北畠具教(とものり)が存命中は人目を気にしていたが、具教をはじめとした北畠一門を処刑して以降、信雄の放埓(ほうらつ)さは留まるところを知らなかった。


先代北畠具教在世时稍加顾忌,但自从处决具教及北畠家族后,信雄的放肆之举一发不可收拾。


具教の処刑に関しても、武田信玄の西上作戦が失敗した折、信雄が具教や主だった北畠一族が信玄と密約を交わしていたと決めつけ、周囲の反対を押し切って関係者の悉(ことごと)くを処刑した。


在武田信玄的西上作战失败时,信雄指责具教和主要的北畠氏族与信玄密约,无视反对,将所有相关人员处决。


その処刑についても強引なやり口を取っており、隠居状態だった具教の屋敷を襲撃し、一切の反論や抗弁を許さずその場で斬り殺してしまっていた。


对于那次处决,他们采取了强硬手段,袭击了秃鹫具教的屋子,毫不容忍地砍掉了他,并没有允许任何反驳或抗辩。


死人に口なしとは良く言ったもので、激しく抵抗されたためやむを得ず切り伏せたとの信雄の言を信じる者はいなかった。


死人不会说话的说法很有道理,但无法相信信雄说因遭到强烈抵抗,只好将其斩杀的言论。


この一連の粛清が信雄の独断に拠るものか、信長の指示かは不明だが、これ以降北畠一門は急速に力を失い、今では完全に信雄の言いなりとなっていた。


这一系列的清洗行动是出于信雄的独断吗,还是信长的指示不得而知,但此后北畠一门迅速失去了力量,现在完全听信雄的摆布。


信雄の無法を諫めようにも、信長の後継者たる信忠に次ぐ序列に位置する信雄に逆らえる者はおらず、北畠は名だけを残して完全に乗っ取られてしまっていた。


然而,即使想要规劝信雄的暴行,也没有人能够反抗位于信忠继承人地位之下的信雄,而北畠则只能留下名号,完全被取代了。


「聞いておられますかな、静子殿!」


“听着呢,静子大人!”


「え? あ、はい、聞いております」


“嗯?啊,好的,我在听。”


突然、信孝から話を振られた静子は生返事をするのがやっとだった。明らかに聞いていないのだが、信孝は気にする様子もなく、信雄に対する愚痴が再開された。


突然,静子被信孝称呼并且只勉强回答了一句客套话。信孝似乎并没有察觉到她没有在认真听他说话,继续抱怨信雄。


「奴には南伊勢の国主、北畠家の家督を継いだという自覚がない。大方、先日の件と志摩国(しまのくに)の件の双方で不貞腐れておるのだろう」


“我没有意识到我已经继承了南伊势的国主和北畠家的家督。大概是因为最近发生的事情和志摩国的问题而感到沮丧吧。”


志摩国は九鬼(くき)嘉隆(よしたか)が1569年に信長より拝領した国であり、古くから内陸部へ海産物を供給する要地であった。


志摩国是由九鬼佳隆在1569年从信长手中领取的国家,自古以来一直是向内陆供应海产品的要地。


伊勢湾という漁業を営む上で絶好の立地を持つ志摩国は、より一層の漁業拡大を目論む静子としては見逃せない。


志摩国拥有伊势湾这样一个理想的位置来从事渔业,对于渔业扩大的计划来说,作为静子这一点也不能忽视。


そこで静子は信長を介して嘉隆へ水産資源の共同開発を打診した。嘉隆としても領地の産業振興は望むところであったため、二つ返事で了承し、即座に静子子飼いの水産関係者が派遣された。


于是静子通过信长向嘉隆提出了共同开发水产资源的建议。嘉隆也希望发展领土的产业,因此立即同意了这个建议,并派遣了与静子有关的水产业人员。


こうして尾張で事業立ち上げという苦難を乗り越えた辣腕(らつわん)家が腕を振るい、志摩国は一躍養殖業の一大拠点となった。


如此,在经历了在尾张(现在的爱知县)创立企业的困难之后,这个有实力的家族挥舞着力量,志摩国成为了养殖业的重要基地。


嘉隆は水産業で潤った財源を元に、将来的には尾張から訪れる海路を通じての伊勢神宮参拝客を見込み、南伊勢までの街道整備を計画している。港町の宿泊施設等は言うに及ばず、街道沿いの旅籠(はたご)等にも十分商売として成り立つ需要が見込める。


嘉隆利用水产业赚到的资金,计划未来吸引来自尾张市的朝向伊势神宫的海路旅客,并计划整修通往南伊势的道路。不仅港口城市的住宿设施,还可以预见对道路沿途的旅馆等的需求的充分商业化。


しかし、インフラ整備は巨大事業であるため、さすがにそう易々とは乗り出せず、未だに計画止まりとなっていた。


然而,基础设施建设是一项巨大的事业,因此不容易着手进行,至今仍然停留在计划阶段。


信孝の言う志摩国の件とは、この一大利権に対して自分が食い込めなかったことを指している。尾張と志摩を直接海路で結ぶため、途中に位置する南伊勢には一切旨味がないのだ。


“信孝所谓的志摩国一事,指的是他未能在这个巨大利益中分一杯羹。为了直接通过海路将尾张和志摩相连,南伊势作为中转站并没有任何好处。”


これだけでも許しがたいというのに、街道整備の不首尾に対する責任を問われ、皇室の氏神である天照坐(あまてらします)皇大御神(すめおおみかみ)を祀る伊勢神宮の庇護者の地位を返上させられたことでの逆恨みも加わっている。


这已经很难原谅了,再加上对街道整修工程不善的责任,以及因此被迫放弃守护伊势神宫天照皇大神作为皇室身份的守护者的地位,更加激起了逆恨情绪。


元々は南伊勢の庇護下に収まっていた伊勢神宮だが、一向に進まない街道整備や、庇護者としての義務を充分に果たさないにも関わらず、十全に税を課せられるだけに飽き足らず、何かにつけて賦税(ふぜい)を申し付けられることに反発した。


原本属于南伊势的保护下的伊势神宫,但由于道路建设一直未能推进,作为保护者的义务也未能完全履行,加上被征收的税款已经足够,仍然反感受到不断的赋税。


信長としても身内の落ち度である上に、朝廷と縁の深い伊勢神宮を敵に回す訳にもいかず、財力及び政治的手腕に優れる志摩国の庇護下へと組み替えたのだ。


作为信长,他不仅因为家族的错误受到了惩罚,而且还不能得罪与朝廷有着深厚关系的伊势神宫。因此,他重组了自己的部队,并接受了志摩国有出色财力和政治手腕的庇护。


領地が減る信雄には志摩国英虞郡(あごぐん)の一部を伊勢国度会郡(わたらいぐん)に編入させることで釣り合いを取ったのだが、信雄はそれを恨みに思っていた。


宗信为了使领地不再减少,将志摩国英虞郡的一部分并入伊势国度会郡,以达到平衡。但宗信对此心存怨恨。


以上のことから志摩国と国境を接する南伊勢の国主である信雄としては、恨みの募る隣国だけが潤っているという状況は面白くない。


基于以上原因,作为接壤志摩国的南伊势领主信雄,不喜欢仅有的邻国因怨而得利的状况。


しかし、難癖をつけようにも信長が仲介した案件だけに、流石の信雄とて強くは言えない。我慢を強いられることの少なかった信雄としては、己の威光が通用しない信忠や静子、自分よりも低い序列にも関わらず従わない信孝と顔を合わせたくないのだろう。


然而,既然信长介入了这个案件,即使想找茬也不容易。对于信雄来说,他很少被迫忍耐,但他显然不想面对信忠和静子不服从他的命令,以及不尊重他的辈分的信孝。


(嫌いな相手とでも手を組める程度の腹芸ができないと、この先辛いんじゃないかな)


如果不能与讨厌的对手合作来展示自己的机智,那么将来会很艰难。


機を逃さず時流に乗った志摩国が栄える一方で、南伊勢は衰退の一途を辿っている。信雄からすれば志摩国の繁栄は喉から手が出るほど欲してやまないものだった。


机不可失,志摩国顺应时势而兴旺,而南伊势却走向衰落。对信雄来说,志摩国的繁荣是一件渴望到难以自制的事。


静子は伊勢湾という外洋を見据えた海上拠点での研究や開発が見込め、信長としては献上される海産物や乾物を朝廷へと納めることで政治基盤を強化できる。残る嘉隆としては外資が入るものの、少ない負担で産業開発が進むという互恵関係が出来上がっていた。


静子能在面向外洋的伊势湾海上基地进行研究和开发,这将有望为信长提供海产品和干货,以巩固政治基础。而剩下的嘉隆则建立了互惠关系,引进外资但负担较少,促进产业发展。


信長、静子、嘉隆の三者による互恵関係が崩れない限り、信雄が権益に食い込める余地はなかった。


只要信长、静子、嘉隆三者的互惠关系不崩溃,信雄就没有侵犯权益的余地。


(信孝も私を嫌っているだろうけれど、それを呑み込んででも信雄より優位に立ちたいという向上心がある。あるいは私を利用して、信雄を蹴落とす腹積もりかな? まあ、計画が順調に進むなら、個人の思惑には関与しないけど)


(信孝也许讨厌我,但我有一颗想要比信雄站得更高的进取心。或者他正在利用我来打倒信雄?如果计划顺利进行,我不会受个人意愿的影响。)


「……もう良かろう。この場に居らぬ者を罵ったところで益はない。さて、面識のある者もおろうが、改めて各自を紹介——」


"......好了。在这里责骂不在场者也没有任何益处。那么,现在介绍一下彼此认识的人——"


信孝の愚痴が一段落したのを見計らい、信忠が倦厭(けんえん)(うんざりする様)さを隠そうともせず、会合の開始を告げた。信孝はそれを耳にして、自分の為すべきことを思い出したのか居住まいを正し、信孝の当て擦りにひたすら耐え続けていた信雄の名代は、ようやく人心地がついたといった様子であった。


在信孝的牢骚告一段落后,信忠立即宣布会议开始,毫不掩饰自己的厌烦。听到这一点,信孝想起了自己该做的事情,纠正了自己的住处。一直忍受着信孝的挑剔的信雄,似乎终于松了一口气。


「北畠三介(三介は信雄の通称。北畠家の家督を継いだため、北畠三介具豊(ともとよ)を名乗っていた)の不在は残念だが、事業のあらましを改めて説明しよう。既に知っている者もおろうが、美濃・尾張・伊勢の三ヵ国を跨ぐ経済圏を構築する。この際だからはっきりと言うが、この度の計画は伊勢への経済支援という側面が強い」


“虽然北畠三介(三介是信雄的别称。因为继承了北畠家的家督,所以曾使用北畠三介具丰(ともとよ)作为名号)的缺席令人遗憾,但让我重新解释一下业务概要。为了跨越美濃、尾張和伊势三个国家建立经济区域,我们已经向已知和未知的人说明了这一点。更准确地说,这次计划强调对伊势的经济支援。”


建前を省いた信忠の言葉に反論できる者はいなかった。伊勢の南北を統合したとしても、その経済規模は尾張と比して微々たるものとなる。


没有人能够反驳去掉敷衍的信忠的话。即使统合了伊势南北地区,其经济规模也与尾张相比微不足道。


元より陸の孤島といった立地の悪さもさることながら、早期に手を付けるべきであった街道整備を怠ったことが響いていた。


从一开始就处于类似陆地孤岛的不利位置,再加上忽视了应该及早处理的道路建设问题,这些都对其产生了不良影响。


雑賀衆を切り崩す際に、尾張からも梃(てこ)入れをして優先的に整備した街道もあるが、現状では不十分と言わざるを得ない。


削弱雑贺众势力时,尾张也进行了杠杆作用,优先整修了一些道路,但目前来看还不够。


ゆえに巨大な美濃と尾張の経済圏に取り込み、特に尾張で顕著な余剰資金を伊勢開発につぎ込むことにした。資金投入の決定には静子の意向が大きく関与している。


因此决定将美濃和尾張的经济圈纳入其中,特别是将尾張显着的剩余资金投入伊势开发中。决策过程中,静子的意愿起了重要作用。


既に織田家の支配地域は経済資源の一極集中をする時期を過ぎており、より大きな経済圏を構築できねば、資本主義の構造的欠陥により先細りとなってしまうためであった。


織田家的统治领域已经过去了经济资源一极集中的时期,如果不能构建更大的经济圈,就会因资本主义的结构性缺陷而走向衰退。


「……否定は出来ぬ。尾張は既に東国一の大国となっている。全国から人、物、金が集まり、また各地へと散っていく。この状況下に於いて、我ら伊勢は尾張に寄り掛かるお荷物と言われても仕方ない」


“否定是不可能的。尾張已经成为东国最大的国家。人、物和金钱从全国汇聚,又分散到各地。在这种情况下,即使我们伊势被称为依赖于尾張的累赘,也无可奈何。”


「冷静に現状を受け入れられるなら上等よ。さて、伊勢と尾張とを陸路で結ぶにあたり、木曽三川が難題となって立ち塞がる。開発に先駆けて、まずは治水工事を完遂せねばならない」


“如果能够冷静接受现状最好。现在,要连接伊势和尾张两地,陆路上有木曾三川成为困难。在开发之前,必须先完成治水工程。”


「承知している。立地的に近い我ら北伊勢が人員を提供し、南伊勢は資金を負担する。相違ないな?」


「知道了。我们北伊势地区提供人力,南伊势地区承担资金。没问题吧?」


「は、はい。そのように伺っております」


是的,我已经听取了您的要求。


南伊勢代表の名代を鋭く睨みながら信孝が念を押した。蛇に睨まれたカエルの如く、名代は身を竦(すく)ませながら返答する。


信孝锐利地瞪着南伊势代表的代表,强调了一遍。代表像被蛇盯着的青蛙一样,身体缩了起来,回答了他。


(この名代の人も災難だよね。この様子だと次回には別の人が来ることになりそうだ)


(这位代表也真倒霉啊。看起来下次可能会换来其他人。)


議事の進行を信忠に任せ、自分は聞き役に徹している静子は、信雄の名代の様子を窺いながら考える。恐らくは信雄から、南伊勢にとって有利な条件を勝ち取って来いと命じられているのだろう。


信赖让信忠来掌握会议进展,静子则作为倾听者全神贯注地观察着代表信雄的样子,同时思考着。很可能信雄派她前往南伊势为那边争取更有利的条件。


明らかに腰の引けた姿勢を見る限り、居並ぶ国主に対して不利益を呑ませる交渉など出来ようはずがない。しかし、そのままおめおめと帰国すれば、信雄の怒りを買って更迭されるのは目に見えている。


看他腰部低弯的姿态,显然无法进行对站在面前的各国领袖的不利交涉。但是,如果毫无顾虑地返回国家,就能预见将招致信雄怒火而被解职。


「ふーむ……静子。其方(そなた)から何か言う事はあるか?」


"嗯...静子。你有什么要说的吗?"


議論が停滞したところで、信忠が静子の意見を求めた。思案しつつも、話の流れを掴んではいた静子は、即座に応えて見せた。


在讨论陷入僵局之时,信忠询问了静子的意见。虽然在考虑中,但静子掌握了讨论的主题,立即作出了回答。


「そうですね、他所(よそ)にはない、伊勢だけの特色。これを打ち出せないのなら、一時(いっとき)の隆盛は得られても、継続的な繁栄は望めないでしょう」


“是的,伊势独有的特色无法在其他地方找到。如果无法突出这一点,尽管可能会获得一时的繁荣,但无法实现持续的繁荣。”


「と申されると?」


"如果我说呢?"


静子の発言を受けて、信孝がやや前のめりに続きを促す。


在静子的发言后,信孝略微地向前倾着身子,促使她继续说下去。


「はい。尾張ならば『尾張様式』と呼ばれるようになった文物や、尾張でのみ生産される特産品があります。美濃には尾張と京をはじめとした他国とを結ぶ中継地としての役割があり、物流を支える産業が育っています。翻って見た時に、伊勢には他国に無い特色はあるでしょうか?」


“是的。在尾張地区,有许多被称为‘尾張风格’的文物以及仅在该地区生产的特产。美濃地区作为连接尾張、东京和其他国家的中转站发挥着重要作用,从而孕育出支持物流的产业。相比之下,伊势地区有其独特之处吗?”


静子は敢えて言及しなかったが、伊勢一帯では志摩国のみが他国と比して抜きんでた特色を具(そな)えている。一生に一度は訪れてみたいと言われる伊勢神宮を擁し、豊かな海洋資源を育むだけでなく、海運の要ともなる伊勢湾を押さえている。


静子没有明说,但在伊势地区,志摩国与其他国家相比拥有独特的特色。它拥有被称为“只想去一次”的伊势神宫,不仅孕育着丰富的海洋资源,还掌握着作为海上运输关键的伊势湾。


然るに、南北の伊勢国にはこれといった特色がない。強いて言うならば、志摩国への通過点でしかない。当初予定されていた街道整備さえ進んでいれば、近畿地方と東海地方を結ぶ交通の要衝となれたはずであった。


然而,在伊势国南北地区并没有什么特色。如果一定要说的话,它只是通往志摩国的中转站。如果原本规划的道路建设进行得很顺利,它本应该成为连接近畿地区和东海地区的交通要冲。


実際に史実でも江戸時代に東海道から分岐した伊勢街道が整備され、南周りの陸路を支える中継地として栄えることになる。


实际上,在江户时代,从东海道分叉出来的伊势街道得到了整修,并作为南回线陆路的中转站而繁荣发展。


そして初手で躓(つまず)いた信雄、信孝兄弟が治める伊勢には、大規模なインフラ整備をする余力すらなかった。


然后,在信雄和信孝兄弟统治的伊势地区,由于一开始就遇到了困难,因此甚至没有进行大规模的基础设施建设的余力。


「人を集めるには『目玉』が必要です。少々遠回りになろうが、伊勢に立ち寄ろうと思えるだけの何かが無ければ、いずれ美濃にその地位を奪われるでしょう」


「要集聚人群必须得有“看头”。虽然走一些弯路,若无法像想到去伊势圣地那样,只怕最终会被岐阜夺走地位。」


「ぐぬ……そうは申されるが、そんなものが有れば我らとて手を拱(こまね)いてはいない」


“虽然如此说,但如果那样的东西存在,我们也不会袖手旁观”


静子の語る内容に一理あると認めつつも、即座に特産品となり得る有望な存在など思い当たらず、意図せず反発してしまう。


虽然承认静子的说法有一定道理,但立即想到成为特产和有潜力的存在等等,无意中反弹了。


「無いのなら作れば良いのです。街道を整備することで少なくとも十年の猶予は得られましょう。その時間を使って、特産品を生み出せば良いのです。幸い南に位置する伊勢には日当たりの良い斜面が多い、ならば他国の特産品と被らない橘(たちばな)か柑子(こうじ)を育てるのは如何でしょう?」


如果没有就得自己创造。通过整修道路至少可以获得十年的缓冲期。在这段时间里可以努力生产特产。幸运的是位于南方的伊势拥有阳光充足的斜坡,那么尝试培育其他国家所没有的橘子或柑子应该是个不错的选择吧?


橘や柑子とは日本に古くから自生している柑橘類である。橘の存在は日本書紀や古事記にも登場し、不老不死の霊薬である『非時(ときじくの)香果(かくのこのみ)』が橘であるとされる。


橘和柑子是日本古老的柑橘类,自生于该地区。橘在《日本纪略》和《古事记》中也有记载,被认为是不老不死的灵丹妙药“时之香果”的主要成分之一。


『常世の国』より持ち帰り、生命の枯れ果てる冬にも青々と葉を茂らせる永遠の生命を思わせる果実。現在ではヤマトタチバナの名で知られる品種がそれだ。


从"常世之国"带回,它是一种让人想起永恒生命,在枯萎的冬天也可以青翠葱茏的果实。现在以"大和立花"的品种名广为人知。


静子は可能ならば温州(うんしゅう)みかんを栽培したいと考えていたが、現時点で温州みかんが存在しているか判らない上に、種なしの品種であるため縁起が悪いと敬遠されかねない。


静子想要种植温州蜜柑,但现在不确定温州蜜柑是否存在,而且由于是无籽品种,可能会被认为不吉利而被回避。


ならば縁起を逆手にとって、不老不死の霊薬とも謳われた橘ならば、伊勢を代表する産業となるのではないかと考えたのだ。


如果以此为契机,利用好这个开端,想必可以将被誉为不老不死灵药的橘子,发展成为代表伊势产业的存在。


「ふむ……貴重な意見を頂戴し、忝(かたじけな)い。静子殿の案は、持ち帰り家臣と相談させて頂きたい」


“嗯……感谢你提出宝贵意见,不胜感激。静子女士的方案,我想带回去和家臣商量一下。”


無ければ作れば良いと言ってのける静子に驚愕した信孝は、静子の語る案に可能性を見た。しかし、ことは一国の命運を左右することだけに、即座に決断することはできなかった。


信孝惊愕于静子的轻松说出“没有就制造出来”,看到了她提出的方案的潜力。然而,由于涉及到国家的命运,他无法立即做出决定。


最初から大筋の決まっている会合だけに、伊勢が取り組むべき方針さえ決まれば、その後はすんなりと話が纏まった。信孝は伊勢の特産品をどうするかという点について、持ち帰りの宿題が発生したが、他の面々は粛々と作業を進めるだけだ。


由于会议的大方向从一开始就已经确定,因此一旦确定了伊势应该采取的方针,随后的谈话就非常顺利。虽然在信孝提出如何处理伊势的特产方面出了一些问题,但其他人都专注地在推进工作。


ただ一人信雄の名代だけが悲壮な表情を浮かべていた。南伊勢に有利な条件どころか、金子が用意できない場合は、尾張と美濃から借り入れてでも用立てよと主君に伝えねばならない。


唯独信雄代表着悲壮的表情。如果无法准备好金子,南伊势就算有优势也无济于事,必须向主君传达即便要从尾张和美濃借钱也要安排。


主君の勘気を被るのは確実であり、下手をすれば詰め腹を切らされかねない。暗澹(あんたん)たる心持ちを隠そうともしない名代を、さも愉快げに見つめる信孝の様子を静子は微妙な気持ちで見つめていた。


被主人的气氛所压抑是肯定的,如果做得不好,甚至可能会被责罚。静子感到微妙的情感,看着信孝充满愉快表情地注视着毫不掩饰自己沮丧心情的代理人。


「事業が軌道に乗ったら、誰かに任せよう……」


"当业务站稳脚跟后,就可以交给其他人处理了……"


信雄はともかく、まだ見どころがあると思えた信孝ですら、共同事業主となる信雄の失脚を望んでいる。この様子では、度々問題が発生するであろうことは目に見えていた。


除去信雄,即便是认为还有看头的信孝,也希望信雄作为合伙企业的合伙人失败。从这种情况来看,问题经常会发生是显而易见的。


兄弟喧嘩の度に仲裁を求められるのも馬鹿らしいと考えた静子は、早々に事業計画の要諦(ようてい)を纏めると、専任の担当者を選出するよう彩に伝え、自分は自室へと引っ込んでしまった。


静子认为兄弟吵架时总是找她调解很愚蠢,于是她迅速整理了业务计划的要点,并告诉彩选择一个专员,而她自己则退回了自己的房间。


「あー、やる気が削(そ)がれる」


"啊,让我的动力削弱了"


床の間に大の字に寝転がり、全身を伸ばしながら愚痴を零す。仕事は明日にしようと声に出して決意し、静子は本格的に休息の姿勢となった。


躺在床上,伸展全身,喃喃自语着。她决定明天开始工作,现在只想好好休息。


暫く無言でヴィットマンたちの隣に寝転んでいると、なにやら大勢の人間が騒いでいるような喧噪が静子の耳にも届いてきた。


躺在维特曼旁边,暂时保持沉默,静子也听到了人群嘈杂的喧闹声。


危険を告げるような性質のものではなく、どちらかと言えば祭りの雰囲気に近いと思った静子は、声の出所を探るべく立ち上がった。


静子站起来,认为这个声音更接近于庆祝气氛,而不是警告危险的东西,于是想寻找声音的来源。


静子の方へ首を向けるヴィットマンの頭を撫でて、静子は独りで部屋を出ると、声のする方へと歩いていった。


静子朝着维特曼将头转向她的方向抚摸了一下,然后她一个人走出了房间,朝着声音传来的方向走去。


「……なるほど」


"……原来如此"


音の発生源に近づくにつれ、おおよその事情を察した静子だが、辿り着いた先は静子邸の一角にある武道場であった。


越靠近声音的来源,静子就越能猜测出大体情况。但是,最终她来到的地方是静子家的一角武道馆。


静子邸の武道場には娯楽でもある相撲を取り易いよう、立派な土俵が設えられていた。土俵だけでなく、周りを取り囲む観客席も設けられ、本格的な造りをしている。


静子邸的武道场设有一座宽敞的土俵,既可用于娱乐相扑,亦方便比赛。除了土俵之外,还设置了周围的观众席,采用了正式的结构设计。


「おー、やってるね」


“哦,你在做啊。”


武道場の土俵へ近づくと、男衆たちが大歓声を上げながら相撲が行われていた。個人戦なのか、団体戦なのかは判らないが、負けた方が土俵を下り、勝った方が残っているところを見るに勝ち抜き戦であるのは確かなようだった。


当接近武道场的土俵时,男性们正在进行相扑比赛,发出热烈的欢呼声。虽然不知道这是个人赛还是团体赛,但从输的一方离开土俵,胜利者留下来的情况来看,这肯定是一场胜者为王的比赛。


「頑張れよー! って静子様!?」


"加油啊!是静子大人!?"


大声を張り上げて声援を送っていた一人が、すぐ傍まで近づいていた静子に気付き、素っ頓狂な声を上げた。それを切っ掛けにあれほど騒いでいた観客が静まり、人波が割れてぽっかりと空白地帯が出来上がる。


一个大声呐喊并送出欢呼声的人注意到了靠近他的静子,他惊得大叫起来。这个声音触发了嘈杂的观众们的安静,人们分开站着,留下了一个空隙。


「ごめんね、お邪魔だったかな? ちょっと通るよ」


“对不起,我是不是打扰你了?我只是路过。” in Simplified Chinese.


周囲の視線が自分に集中していることに、若干気まずさを覚えつつも、観客席の最前列へと歩を進める。


周围的目光集中在自己身上,虽然感到略微尴尬,但还是朝着观众席最前排迈步。


「おや静っち、騒がしかったかい?」


“噢,静静,你闹得厉害吗?”。


土俵際まで辿り着くと、先ほどまで相撲を取っていたのか、半裸姿に土汚れを纏った慶次が居た。


当我到达土俵边缘时,我看到了刚刚还在打相扑的半裸的慶次,他身上沾满了泥土。


他にも長可や才蔵、高虎もおり、こちら側に織田家の関係者が揃っているようだ。反対側を見やると上杉景勝や直江兼続など越後人たちが陣取っていた。


除此之外还有长可、才藏、高虎等等,这边好像聚集了丰臣家的关系人。看向另一边,越后的人们如上杉景胜、直江兼续等等已经在布阵了。


「いや、楽しそうな声が聞こえてきたからね。少し気になって覗いてみたんだ」


“不,因为听到了很开心的声音,所以我难免有点好奇偷看了一下。”


「はっはっは。見ての通り、織田対上杉の団体戦だ。勿論、勝っても負けても恨みっこなしの勝負だがな」


「哈哈哈。如你所见,这是一场織田对上杉的团体战。当然,不管输赢都是无怨无恨的比赛。」


「うん。事情は分かったよ、お互い怪我のないようにね」


“嗯。我明白情况了,咱们都要注意不受伤害哦。”


静子が静観の構えを見せると、再び取り組みが始められた。織田勢と上杉勢の交流戦だというのは判ったが、それにしても少し気になることがあった。


看到静子采取观望的姿势后,双方再次展开了交锋。虽然已经确认了織田势与上杉势之间的对抗,但仍有一些让人有些担忧的事情。


「随分と盛り上がっているね。連勝記録を更新している人でもいるの?」


"气氛相当热闹嘛。有人正在更新连胜纪录吗?"


静子が違和感を覚えたのは、観客たちの熱狂ぶりと、選手たちの入れ込み具合だった。織田勢と上杉勢に分かれて相撲を取るのは、今回が初めてという訳ではなく、以前から度々催されている。


静子感到不自然的原因,是因为观众们的狂热和选手们的投入程度。以織田派和上杉派分组进行相扑并不是第一次,而是经常举行的比赛。


静子の知る限りでは、今回ほどの盛り上がりを見せたことはなく、その一点が気掛かりであった。


据静子所知,以前从未见过如此高潮迭起,这正是令人担忧的地方。


「今回は負けた方が、勝者側の飯代を持つことになっているからな。ささやかだが賭けの要素があれば、皆の盛り上がりも変わってくるってもんだ」


“这次输的一方需支付胜者的饭钱。虽然只是小小的赌注,但有赌注也能改变大家的兴致。”


静子の疑問に長可が答えた。選手同士は言うに及ばず、観客たちも互いの選手の勝敗に飯代を賭けて盛り上がっていたのだ。


静子的疑问得到了长可的回答。不仅是运动员之间,观众们也在相互之间为他们支持的选手下注,热情高涨。


納得のいった静子は、問題なしと判断した。胴元が握っての賭博になっているわけでもなし、目くじらを立てるほどでもないと考えた静子は告げる。


同意了的静子判断没有问题。她认为这并不是由老板控制的赌博,也不需要过分激动,便宣布了这个判断。


「その程度なら問題なし。互いに矜持を懸けて存分に戦いなさい」


“那点小事没问题。你们可以互相展示自己的自尊心,尽情地战斗吧。”


「さっすが静っち! 話が分かるぜ」


"真不愧是静哥啊!讲的我都懂了"


「しかし、勝者への褒美が飯代だけってのも味気ないよね。盛り上がっているところに水を差しちゃったお詫びに、私からささやかな賞品を提供しようと思うんだけど、どうかな?」


“然而,只有伙食费作为胜者的奖励似乎有点单调。为了表示我对破坏热闹气氛的歉意,我想提供一些小奖品,你觉得怎么样?”


珍しく茶目っ気のある表情をしている静子の言葉に、一瞬の空隙の後、歓声が爆発した。


听到静子带着罕见的调皮表情说出这番话后,片刻沉默之后,欢呼声爆发了。


「私が提供する賞品はこれ。一部の人は、この札の付いた鍵が何処の鍵か判るでしょう?」


“我提供的奖品是这个。一些人可以看出这个带标签的钥匙是哪个钥匙吗?”


もう一度最初から団体戦をやり直そうとしていることに静子は満足げに頷いて、懐から賞品となる鍵を取り出した。何処にでもある南京錠の鍵に見えるが、下げられた札には『酒』の一文字が刻まれていた。


静子满意地点头,表示要重新开始团体战,然后从怀里拿出了一把作为奖品的钥匙。看起来像是常见的南京锁钥匙,但挂在上面的牌子上刻着一个“酒”字。


静子の取り出した鍵は、静子が管理する酒蔵の一つの鍵であった。静子自身が酒を禁じられているため、保管されている酒の大半は手つかずのまま眠っている。


静子拿出来的钥匙是由静子管理的酒藏的一个钥匙。由于静子本人被禁止饮酒,因此存放的大部分酒都未被使用。


中には帝へ献上するために仕込まれた酒や、信長や前久などの一部の人間しか口に出来ない特級酒もあると、まことしやかに噂されていた。


据传闻,其中还有为奉献给天皇所准备的酒,以及只有信长和前久等少数人才能品尝的特级酒。


「実は柴田様への陣中見舞いにと用意した酒が余っていてね、酒の処分にこまっていたんだ。勝者には勝利の美酒が似合うでしょう?」


“其实我之前为柴田大人准备了一些军中问候用的酒,现在还剩下不少,所以不知如何处理这些酒。获胜者将会配得上胜利的美酒吧?”


ゴクリと誰かが唾を飲み込む音が聞こえた。静子は貴賓用の桟敷(さじき)席に鍵を置くと、両手を叩いて全員の視線を集めた。


听到有人咽了口唾沫的声音。静子把钥匙放在贵宾席上,拍着双手吸引了所有人的目光。


「織田対上杉の団体戦、勝ち星の多かった方にこの鍵を託しましょう。無論、中のものをどうしようが自由です!」


让我们把这把钥匙交给在織田家对上杉家的团队战中获胜的一方。当然,里面的东西怎么处理都由你自由决定!


「「「うおおおおおおおおおお!!」」」


"「「「うおおおおおおおおおお!!」」」" in Simplified Chinese is "「「「哇啊啊啊啊啊啊啊啊!!」」」"


鬨(とき)の声かと思う程の大音声が相撲場を揺るがした。誰もが羨む秘蔵の酒を味わえる機会とあっては、盛り上がらない呑兵衛などいはしない。


响彻相扑场的大声音让人以为是喧闹之声。既然有机会品尝到令人羡慕的珍藏酒,那就不会有不热闹的饮酒之徒了。


「越後の人達は酒蔵の中を想像できないでしょうから、まず双方の代表者を選出して下さい。実際に蔵の中身をお見せします」


"由于越后地区的人们可能无法想象酒窖的内部情况,因此请选出双方代表人员。我们将具体展示酒窖内部情况。"


話し合いの末に、尾張からは慶次と長可が、越後からは景勝と兼続が選ばれた。静子は四人を伴って酒蔵まで赴き、鍵を開けると閉ざされた扉を開け放った。


经过协商,来自尾张的景次和长可,以及来自越后的景胜和兼续被选中。静子带着四个人前往酒窖,开了锁并打开了紧闭的门。


「おいおい、こいつは尾張大吟醸だぜ。しかも二年前って言やあ、大当たりって言われた奴じゃねぇか!」


“喂喂,这家伙可是尾张大吟酿啊。而且,据说是两年前的,被称为大成功的家伙!”


「こっちにも凄いのがあるぞ! 帝に献上される御用酒と一緒に仕込まれた樽だ! 選に漏れたとは言え、天下一品のお墨付きだぜ!」


“这边也有很厉害的东西哦!这是和献给帝王的御用酒一起酿造的桶!虽然没有被选中,但是是一道天下一品的美味哦!”


慶次と長可が目を輝かせて、酒樽に貼られた表書きを確認していく。一方、彼らが何を驚いているのか判らないのが、景勝と兼続の越後組。


庆次和长可眼中闪耀着光芒,确认着酒桶上贴着的标签。而另一方面,景胜和兼续的越后组却不知道他们正在惊奇什么。


ただ、酒飲み仲間である慶次が目を輝かせる程度には、良い酒が並んでいるのだという事は理解出来、否が応にも期待が募る。


只不过,虽然能够理解好酒已经摆在了酒友慶次的面前,看着他发出的光芒,不由得期待也随之增加。


「まあ、お酒は飲んでみないと判らないよね。そこに試飲用の盃があるから、少し味見してご覧?」


“嗯,没有喝过酒是没办法知道味道的。这里备有试酒杯,尝一点看看吧?”


静子は樽酒の一つを倒して『ダボ』と呼ばれる木製の栓を抜き、『呑み口』を差し込ませた。再び酒樽を立ててから、『呑み口』の栓を抜く。


静子倒了一个酒桶并拔掉了名为“达博”的木塞,插入了“饮口”。然后再次竖起酒桶并拔掉“饮口”的塞子。


試飲用の盃と言って持ち出されたのは、朱塗りの大盃であった。その大盃になみなみと注がれた酒を持って、四人が先に蔵を出て、静子が再び鍵を閉めた。


拿出来作为品尝之用的酒杯是一只朱漆大杯。四个人拿着装满酒的大杯先离开了酒窖,静子重新锁上了门。


武道場の土俵際へ戻ると、皆が地面に座り込んで休憩しているところだった。静子達が戻ってきたことに気付くと、腰を下ろしていたものも立ち上がって集まってくる。


当回到武道场的土俵边时,发现每个人都坐在地上休息。注意到静子等人回来后,原本坐着的人们都站起身来聚拢过来。


「勝利の美酒の中から一つを選んで持ってきたよ。回し飲みになっちゃうけど、参加者は並んで味見してみてね」


“我从胜利的美酒中挑选了一瓶出来。虽然只能轮流品尝,但是请排队尝尝吧。”


大盃を持っていた慶次が、まずは越後側が飲むべきだと、景勝に手渡した。


桂次手持大杯,表示先让越后方先喝,把大杯递给景胜。


かなりの重量がある大盃を受け取った景勝は、酒杯から立ち上る芳醇な香りに陶然とする。


接过重量相当大的大酒杯后,景胜被从酒杯中散发出来的浓郁香气所陶醉。


皆が息を飲んで見守る中、大盃に口を付けて酒を口中に流しいれた。


在所有人都屏住呼吸注视着的情况下,他把嘴巴贴在大酒杯上,将酒缓缓倒入口中。


「おお、これは……」


哦,这是……


口に含んで転がし、舌の上で味わい、最後に喉の奥へと嚥下(えんか)する。何を言うでもなく、まずため息が漏れた。


含在口中滚动,品味在舌头上,最后咽下到喉咙。没有说话,先是叹息声漏出。


たった一口、されど一口。彼が味わった酒は、ただの一口で彼を魅了した。どのように仕込めばそうなるのか判らないが、澄み渡っているというのに何処か濁り酒のようなトロリとした口当たりをしていた。


只是一口,却是特别的一口。他品尝的酒,在喝下仅仅一口后就迷了他的心。我不知道要怎样酿造出这种口感,即使酒本身清澈透明,口感却似乎有着混浊的、像浑浊酒一样的黏涩感。


甘く柔らかい口当たりながら、喉を焼くような酒精(しゅせい)の強さが体に染み渡る。喉を通った際に香る花の様な芳香は、彼の眉間の皺を和らげた。


甜而柔软的口感,同时强烈的酒精感烧灼着身体。喉咙中传来的花香般的芳香使他的眉头放松了下来。


彼の反応から、その酒がどれほどの味だったのかと喉を鳴らす。越後人たちの反応に気を良くした静子は、順繰りに大盃が回されていく様を眺めながら、再び桟敷席に酒蔵の鍵を置いた。


从他的反应可以看出,这种酒有多好喝,让人想要咽下去。静子看到越后人的反应很高兴,一边观察着大杯子一个接一个地传递,一边再次将酒窖的钥匙放回了包厢座位上。


「さて、勝利の美酒はお気に召したかな? 賞品はこれと同等の酒が、ここに居る全員が浴びるほど呑んでも余るほどあるよ。さあ、我こそはと思う者は名乗りを上げよ!」


“那么,胜利的美酒你喜欢吗?奖品是与此相当的酒,足够这里所有人喝个够,甚至还有剩余。来吧,如果你认为你是最棒的,就请站出来吧!”


静子の発破に参加者が詰め掛け、団体戦の組み合わせ表はかつてない規模となっていた。


静子号令一下,参与者们纷纷聚集起来, 团体战的组合表达到了以前未曾有过的规模。


「それじゃ、双方とも怪我だけはしないように、張り切って戦いなさい」


那么,双方都不要受伤,全力以赴地战斗吧。


静子はそれだけを言うと、土俵の傍を後にした。武道場から外に出た直後、背後から大歓声が聞こえた。


静子说完这句话,就离开了角斗场旁边。刚走出武道馆,就听到了背后传来的欢呼声。


早速取り組みが始まったようだ。若干上杉勢に遠慮が見られたため、少し煽って見せたのだが、予想以上の効果だったなと今更ながら思う。


似乎立即开始着手处理了。由于在上杉势力中稍有保留,因此稍微刺激了一下,结果效果超乎预期。


「まあ、気を付けていても怪我人は出るだろうね。先に医者の手配をしておこうか」


“嗯,即使注意也可能会有受伤的人。我们先安排医生吧。”


静子が様子を窺いに来た時以上の賑わいを見せる武道場に背を向け、静子は彩の居る母屋へと足を向けた。


静子背对着比她来窥探时更加热闹的武道馆,转向了彩所在的主屋。


【GPT机翻】战国小町苦劳谭 (戦国小町苦労譚)- 125 [千五百七十五年 四月下旬]的评论 (共 条)

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