誕生日において
僕の誕生日、誰を呼ぼうかな
拓ちゃんは、一年生です。庭の大きな柿の木をみあげて、
【聡くんでしょう。真ちゃんでしょう。佳子ちゃんでしょう。チイちゃんでしょう。それに、おばあちゃん。】
と、指をおって、考えます。
ちょうど五本。五人です
拓ちゃんは、庭に跳び下りて、綺麗な柿の葉を、五枚拾います。
そして、マジックで、
【明日は、僕の誕生日です。
三時から パーティーを ひらきます。遊びにきてね。
拓ちゃん】
と、かきます。
綺麗な招待状が、五枚できました。
こんどは、ひっくりかえして あてなを、かきます。
さあ、できた。
拓ちゃんは、五枚のきれいな柿の葉をもって、おもてに、とびだします。
拓ちゃんは、ボストの、前に座っています。
もうすぐ、ゆうびんやさんが、てがみをあつめにくるじかんだからです。
【拓ちゃんじゃないか、なにをしているんだい。】
【あっ。ゆうびんやのおにいちゃん。】
拓ちゃんは、まってましたと、五枚の柿の葉をゆうびんやさんに、
【これ、拓ちゃんのハガキなの、はいたつしてね。】
と、わたして かけだしました。
【えっ。これが、ハガキかい。】
ゆうびやさんは、五枚の柿の葉を一枚ずつみて、
【そうか、拓ちゃんの誕生日は、あしたか。】
と、いいます。
でも、おばあちゃんの、あてさきをみて、びっくり。
【拓ちゃん。いくらなんでも、ほっかいどうは、むりだよ。】
でも、拓ちゃんは、もういません。
まいったなあ
ゆうびんやさんは、あたまをかいて、たいせつに柿の葉を、しまいます。
きょうは、拓ちゃんの誕生日です。
拓ちゃんは、おめかしをして、なんどもけいを、みます。
もうすぐ、三時です。ママがテーブルに、ケーキとジュースをならべて、
【これで、いいのね。でも、だれを、よんだの?】
【あのね。聡くんでしょう。真ちゃんでしょう。佳子ちゃんでしょう。チイちゃんでしょう。それに、おばあちゃん。】
拓ちゃんが、とくいそうに、いいます。
【おばあちゃんって、ほっかどうの?】
ママは、びっくり。
【そうだよ。でも、大丈夫。僕、ハガキをだしたもの。】
【でも・・・】
ピンポン ピンポン
ママがいいかけたときに、チャイムが、なりました。
佳子ちゃんとチイちゃんが、きました。聡くんと真ちゃんも、きました。
みんな、大丈夫に、柿の葉のハガキを、もっています。あとは、おばあちゃんだけです。
ピンポン ピンポン
また、チャイムです。
【こんどは、おばあちゃんだ】
拓ちゃんは、げんかんに、とびだします。
【はい、こんにちわ。】
おばあちゃんです。おおきなおみやげを、いっぱいもって、げんかんに、たっています
【はやく、はやく、まってたんだから。】
拓ちゃんは、おばあちゃんの手を、ひっぱります。
誕生会が、はじまりました。
ママは、おばあちゃんの耳もとで
【おばあちゃんにも、柿の葉が、とどいたの?】
【柿の葉だって・・・】
おばあちゃんは、めを、まるくしました
ーーそうよね、
ママは、ひとりで、うなずきました。