麻将Pro的分娩(二)(文:浅见真纪)
原文:https://note.com/asamimaki/n/n11a9ff694fe2
日期:2020年11月21日
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産院に着いた。
土曜日だったこともあり、駐車場が満車。
私は先に降りて、夫は車を停めに行った。足腰がイッてしまったおばあちゃんの様なテンポで受付に進み、「陣痛とおしるしが来て、電話ですぐ来るように言われました…」とおばあちゃんの様に伝えるとすぐに診察室へ通された。
我们抵达了医院。由于这一天是周六,停车场已经塞满了车。我先下车,丈夫去找能停车的地方。我像个腰腿不灵活的老太太一样步履缓慢地来到前台,又以如老太太一样的语速跟前台说“阵痛和产前信号同时在我身上出现,给医院去电后他们让我立马过来……”,然后我立刻被送往了诊察室。
先生から聞かされる「3センチ開いてます」の言葉。
なんでカッチコチだったのに急に開くんだよ…
ていうか今日は土曜日だから自然分娩じゃねぇか!!!!!
という考えもよぎったが、
从医生那传来了“已经打开了3厘米”的话语。平时都紧绷着的怎么突然就打开来了啊……“话说今天都周六了所以是自然分娩啊!!!!!”这样的想法也在我脑海里闪过,
それより何より
ほんとに産まれるんだ…
という喜びとも驚きとも表現し得ない不思議な感情で一杯になった。
どうしようもないので普通分娩になったことに関しては諦めて覚悟するしかなかった。
但比起那样的想法,“我的孩子真的要诞生了…”这样又惊又喜,我无法描述的不可思议的感情充满了全身。到了如此田地,我只能放弃原定计划接受普通分娩了。
診察を終えるとすぐに、入院をする個室に案内されることになった。案内してくださった看護師さんが私の入院グッズを全て持って付き添ってくれている。痛みで少し歩いては立ち止まり、また歩いては立ち止まり…を繰り返していると、車を停め終えた夫がわたしをみつけて走り寄ってきた。
诊察结束后,我立刻被带到了我即将入住的病房。给我带路的护士拎着我全部的入院用品,搀扶着我过去。由于疼痛,我每走几步都得停下来,走了几步又要停下来……反复几次后,丈夫停完车找到了我,向我跑来。
そしてわたしの少し後ろに付いて歩き出したのだが、何より私が思ったのは「お前荷物持てよ」だった。
しかし痛すぎてそれを伝えることすら出来ない。
持てよ…なに人様に持たせてんだよ…と思いながら一生懸命右足を前に出し、左足を前に出す。
接着丈夫在后方跟随着我行走,但我此刻的想法却是“你倒是拿着行李啊!”。但我所承受的痛楚并不允许我跟他讲这些话。我一边心想“你自己拿啊……怎么让能麻烦别人拿行李啊……”一边拼命地向前挪动自己的左右脚。
すると夫に気付いた看護師さんが、無言で荷物を夫に渡した。
何より私が思ったのは「何渡されてんだよ…自分から『すみません持ちます、ありがとうございます』って言えよ」だった。
この日の記憶は途切れ途切れだったりもするのだが、このどーでもいい出来事を忘れることが出来ない。
いつか大喧嘩をしたら引き合いに出そうと思う。
然后护士发现了我的丈夫,一言不发地将行李交给了他。我第一时间想到的是“怎么是别人主动交给你啊,你倒是讲一句‘抱歉,请交给我吧,谢谢您’啊!”虽然我对这一天的记忆是断断续续的,但我对这件鸡毛蒜皮的事耿耿于怀。下次大吵一架的时候再拿出来当谈资吧。
個室の部屋は綺麗だった。
本当に良い産院にしたと思う。
入院用の荷物を部屋に置くと、看護師さんに「この部屋でもう少し子宮口が広がるまで待つこともできますが、分娩室に行っちゃうこともできます。どうしますか?」と聞かれた。
即答で
「分娩室に行きたいです」と答えた。
单人病房的内部环境很不错,我心想我选了一家很不错的医院。放置好了入院的行李,护士对我们说“您可以在这里等到子宫口张开,也可以立刻去分娩室,您的意向是?”
我立刻回答“我想去分娩室。”
これ以上痛くなってから、階の違う部屋に移動するなんて信じられない。人間の所業じゃない。わたしの中の危険察知能力がそう答えさせたのだ。
古き良き時代のテーブルクロスの様な柄の分娩着に着替え、夫と共に分娩室へ移動した。
11月9日、昼の12時の事であった。
要是让我继续承受这个痛楚,我无法想象我如何上下楼去别的地方,这根本不是人干的事情。我的危机意识促使我做了这个回答。穿上花色如怀古的桌布一样的产妇服,我和丈夫一起前往了分娩室。
分娩台によじ登る。
少しワクワクする。
10ヶ月お腹の中で過ごしてきた自分たちの子どもにようやく会えるのだ。
痛いけど、想定外に痛いけど、それよりやっぱりワクワクする。17時か18時頃には産まれそうだという話も聞けた。
本来の予定日は11月10日。(子宮口が硬かった為、予定日よりおくれて入院予定だった。)
今日は11月9日でなんやかんやほぼ予定日通り。今は痛みも少し和らいでいる。あと6時間、頑張ろう。
我爬上了分娩台,心里有些许兴奋。因为我终于能见到待在我肚子里10月的孩子了。很痛,虽然痛楚超乎想象,但我还是非常兴奋。我还听说孩子大概17~18点就会出来了。我本来的预产期是11月10日。(因为我的子宫口非常紧绷,本来的入院时间比预定的要晚。)今天是11月9日,也算是符合预期吧。现在我的痛楚也有少许缓解,剩下的6小时继续努力吧。
しばらくすると助産師さんが昼食を持ってきてくれた。
産まれてこのかた入院というものを経験したことのない私は、当然ながら病院食というものも食したことが無い。
はじめての病院食にも心が躍った。
ニンニクの効きまくったからあげ定食だった。
病院食は、味が薄くヘルシーなものだと思っていたのでショックだった。
わんこそばを101杯食べた記録を持つ、麻雀界のフードファイター浅見もこの時ばかりは痛みで半分も食べられなかった。
息子と初対面するにあたって、ニンニクくさっ!!っと思われるのが嫌という乙女心も働いていたような気がする。
过了一会助产士给我送来了午餐。自出生以来我就没有住过院,所以我也没有吃过病号餐。对于第一次的病号餐我也非常期待,结果端上来的是满是蒜味的炸鸡块套餐。我想象中的病号餐是口味清淡且健康的东西,所以我大受震撼。拥有吃下101碗小碗荞麦面记录的大食汉浅见,此刻也因为痛楚而无法吃下半份套餐。可能是我怕见到儿子后被儿子嫌弃一股大蒜味这样的少女心在作祟吧。
ベッドの上で食事を終えると、陣痛間隔を調べるための装置を体に付けられた。採血の結果、白血球の値がとんでもなく高かったようで、この後の展開次第で帝王切開になるかもしれないという説明を受けた。
通常白血球数は成人女性で3000〜7800だと言われるらしいが私の数値を見た助産師さんが
「え?!にまん?!」
と聞こえる音量で叫んだのが忘れられない。
どうも。にまんです。
用餐完毕后,我在床上被安装了用来查看阵痛间隔的装置。抽血化验的结果显示我的白血球值异常的高,这之后可能要因情况进行剖腹产。成年女性的白血球正常值大概是3000~7800,但助产士看到我的数字后用所有人都能听得见的声量大喊“啊?两万!?”对的,我就是二万。
もともと無痛分娩を希望していたのに、それが自然分娩になり、それが帝王切開になるかもしれないなんて…想定とは違いすぎて絶望してしまった。
その絶望をごまかすためにも、夫のiPhoneで雀王決定戦を見ることにした。
そう、この日は日本プロ麻雀協会の最高峰タイトルである第18期雀王が決まる戦いの最終日だったのだ。
本来我是希望做无痛分娩的,但突然变成了自然分娩,而后又有了剖腹产的可能性,我因为计划赶不上变化而绝望。为了缓解这个绝望,我决定用丈夫的iPhone观看第18期雀王决定战的最终日。
陣痛に耐え、子宮口がより広がるまでただただ待ちながら決定戦を夫と見ていた。
たまに助産師さんが陣痛間隔を示すグラフをチェックしに分娩室に来ていたのだが、
「麻雀みながら出産する人ははじめて見ました」と言っていた。
誇らしかった。
よく見てはいないが助産師さんも多分称賛の眼差しを向けていたと思う。
忍着阵痛,我一边等待子宫口扩张一边跟丈夫观看决定战。助产士偶尔会过来分娩室检查阵痛间隔的曲线图,看到我俩如此情形说道“我还是第一次见有人一边看麻将一边生孩子”。我感到非常骄傲,虽然我没有正眼看助产士但大概TA也对我报以了赞赏的目光吧。
ただ、痛くない8分→痛い2分→痛くない8分→痛い2分…と繰り返しているため、局面は全く追えないことが判明した。気付いたらテンパイしていたり、気付いたら点棒がいきなり減っていたりする。
決定戦観戦は出産時には向いていない。
皆さんにも覚えておいて欲しい。
但是,在不痛的8分钟→感到痛的2分钟的循环里,我发现我完全无法把握局面。回过神来发现有人听牌了,又或者是点棒大幅度减少。大家请记住,决定战不适合在生孩子的时候观看。
雀王決定戦最終日は、堀慎吾プロが大きなリードを持っていて、矢島亨プロ・金太賢プロ・渋川難波プロが大逆転の機会を虎視眈々と狙うという構図になっていた。
「はぁ、はぁ…痛い…なんでほりしんごはまたこんなに点棒持ってんの…」
「さっき2000/4000ツモったよ」
「くそッ…決まっちゃうじゃん…」
雀王决定战进入最后一天,堀慎吾Pro拥有非常大的优势,而矢岛亨、金太贤和渋川难波三位Pro则虎视眈眈,寻求大逆转的机会。
我:“哈啊,哈啊,好痛啊……为什么堀慎吾还有这么多点棒啊……”
夫:“刚才他自摸了满贯呀”
我:“可恶,那不就全完了吗……”
決して堀慎吾を応援していない訳ではない。
どちらかというとむしろ好きだ。
ただ接戦を見たいというだけだった。
それだけで堀慎吾のラスを願ってしまった。
ギャラリーとしての無責任さと、陣痛による思いやりのなさでこんな見方しかできなかった。
堀さんごめん。
我并不是不支持堀慎吾,甚至他是我很喜欢的一位选手。但是我只是想比赛有点悬念,所以我希望他吃四。这是我作为观众不负责任的想法,也是我由于阵痛导出了思路混乱的见解。对不起,堀桑。
陣痛の波が来た時は、痛みをごまかすために夫に尻の骨を押してもらった。夫は助産師さんからのレクチャーを受けて、10分に1度、2、3分の間私のケツに昇竜拳をかますというぶっ続けチャレンジをさせられていた。
30代男性が全力でケツの骨を潰しにかかっているのに、それが「弱いッ!!!」と感じる程に陣痛は痛かった。
雀王決定戦で煮詰まった局面がやってくると、昇竜拳が甘く入る時があり、
その時は見る者を魅了する麻雀を打つ四人を恨みながら夫の手をはたいていた。
为了在阵痛到来的时候缓解我的疼痛,丈夫会给我按压尾椎。他接受了助产士的培训,每10分钟给我的尾椎来一套升龙拳,每次2~3分钟,持续不止。即使被30多岁的男人用尽全力敲打我的尾椎骨,这给我带来的痛楚也远远弱于我本身的阵痛。在雀王决定战进入紧张关头,他的升龙拳力度也会时而减弱,我带着对打着如此让人陶醉麻将的四人的恨意,打了打丈夫的手。
◆16時頃。
もう、まともに麻雀すら見れなくなってきている。「痛くない8分」だった時間は、「けっこう痛くて苦しい7分」になっていた。
子宮口は5センチまで開いたらしい。4時間かけて2センチ。このていたらく。何をしてるんだワイの子宮は。
16点左右。我已经不能集中观看麻将了,“不痛的8分钟”已经转变成“非常痛且辛苦的7分钟”了。子宫口扩张到了5厘米,用了4小时才只扩张了2厘米。真是难堪,我的子宫到底在干什么啊。
◆17時。
どうやらシフトが17時交代の産院だった様で、新しい助産師さんがやってきた。
痛みはひどいのに、周りから『産まれるオーラ』が漂ってこない(助産師さんや産科医さんがバタバタしてこない)ので、新しい助産師さんに思い切って聞いてみる。
「17時か18時くらいに産まれると思うって…き、聞いたんですけど…!」
「あはは、ちょっとそれは厳しいですね」
プププっ、おもろいこと言いますね!
そんな雰囲気の笑い声で返答が来た。
なんか知らんけど恥ずかしくなった。
17点。看起来这个医院换班是在17点,这时候换班的助产士来了。纵使我疼痛难忍,但周围的人完全没有“我快要生了”的气氛(助产士和妇科医生完全不慌不忙),所以我铆足了劲问了一下新来的助产士。
“我听说是17或者18点……能生下孩子这样!”
“哎呀,这个点好像有点难”
TA伴随着带有“噗嗤,您还真会说笑啊!”如此笑意的声音这么回答道,这反而让我有种莫名的尴尬。
「といいますと何時ごろでしょうか…」
「うーん、今日中に出てくるか来ないか…ってくらいですかねえ」
今日中?!
24時かどうかくらい?!
17時とかゆってたのに?!
だまされた!!!!
だまされました!!!!
わたし詐欺に会いました!!!
産まれる産まれる詐欺です!!!!
あの人詐欺です!!!!!!
“那究竟是几点呢……?”
“嗯~今天能不能生下来……都很难说哦”
今天之内!?甚至可能延后到24点!?他明明说17点的啊!?我被骗了,我被他骗了!!!!我遭到诈骗了!!!“要生了要生了”的诈骗!!!!他是诈骗犯!!!!!!
そう思った。
本当に心からだまされた!!と思った。
我是这么想的,我打心里认为“自己被骗了!!”。
あと1時間くらい…と思っていた苦痛が、あと6時間以上あるとわかった瞬間に、出産に対するモチベーションがだだ下がりした様に思う。
今までは苦痛より、こどもに会える楽しみというものが勝っていた為なんとか耐える事が出来たが、この詐欺事件で苦痛の方が増してしまったのだ。
我本以为只要再忍耐1小时的痛苦,突然被延长至最少6个小时,这一瞬间我对分娩的动力已经慢慢消失了。至今为止比起痛楚,我希望看到孩子诞生的心情更胜一筹,所以我能够忍耐疼痛,但这个诈骗事件让我的痛楚更为增加了。
更になかなか陣痛が進んでいないとのことで、
陣痛促進剤を点滴された。
正確にいうといつから点滴されていたかは覚えていない。が、時間が進むにつれ、どんどん点滴する量をふやされたのは覚えている。
なかなか体が産もうとしなかったのだ。
更重要的是我的阵痛并没有继续发展下去,所以我被点滴注射了阵痛促进剂。我不记得被注射了的正确时间,但我记得点滴的量越来越多。似乎我的身体对分娩这件事很是抵触。
水曜日から続いた前駆陣痛で体力が尋常じゃなく奪われていたこと、そしてモチベーションが下がってしまったことが原因だったのではないかと思う。
あともしかしたら20000あった白血球がなんかしたのかも。にまん。
这大概是由于从周三开始持续至今的产前阵痛带来不寻常的体力消耗,从而引发了我对分娩的动力下降,所以导致这样的局面。还有大概,或许是我20000的白血球值带来了什么影响,二万。
ぐるぐる色んな思いも巡るが、いちいち深く考えていられない。すぐに痛みの波はやってくる。
そんな時に夫が大きな声で私にエールを送ってくれた。
「やじーが四暗刻つもったよ!」
虽然各种想法在我脑内回旋交织,但我已经没办法作深入思考了,因为痛苦会立刻到来。这时候丈夫大喊了一声给我打气。
“YAJI(矢岛亨)自摸四暗刻了哦!”