精霊流しには忘れられない思い出がたくさんある

桑原由気

蝉の声が、始まりの合図。

大人になってからは、長い時間休むことは少ないかもしれないけれど、子どもの頃の夏休みは、特別なもの。寝坊したって、遊びすぎたって、宿題を忘れてしまったって。その時間はかけがえのないものだった。

私の夏休みにかかせないものたち。忘れられない思い出たち。少し色を褪せて、セピア色になったアルバムのページをめくろう。

私は小学生の頃、夏休みの大半を学童保育ですごした。自分から親に行ってみたいと話したような気がする。午前中は宿題をする時間、午後は、プールに遊んだり、近く公民館にアニメを見に行ったり、時には遠くまで出掛けて、キャンプに行ったり。自分の通っていた小学校ではなかったので、知らない子ばかりだったけど、たくさん友達ができで、幼いながらに、自分の世界が広がっていくのを感じだ。家の中でひとりで遊んでいたら、きっと見つからなかった出会いや発見。夏休みに書きなぐった落書き帳には、学校の授業では学べないことが綴られていた。

そして、次のページへ。

私の地元、長崎で行われる「精霊流し」という行事。提灯や花など鮮やかに飾った精霊船を作成し、故人の魂を乗せて、流し場と呼ばれる終着点まで運ぶ。爆竹を鳴らしながら運ぶので、この日は街中に大きな爆発音が鳴り響く。パーンと乾いた爆竹の音。汗だくになりながら船を運ぶ人々の声。夏の恒例行事だが、私も大好きだった曾祖母を想いながら船を運ぶことがある。幼い頃は理解していなかったが、この賑やかな音に包まれながら、家族を集まって思い出話に花を咲かせるのを、曾祖母は喜んでくれていたのではないだろうか。余談だが、船を飾っていた提灯の火が旗の部分に燃え移り、家族みんなで慌てながら消したのも今となっては笑い話で、忘れられない思い出のひとつになっている。

そして、最後のページにあるのは、甲子園だった。

じりじりと体を燃やしていくような暑さの中で戦う球児たちと、それを応援する人たち。ボールを投げる、受ける、走る、汗をかく、声を出す......。ひとつひとつつの動きが、私の目にはドラマチックに映し出されていた。最後まで諦めない強さ、拳を振り上げ笑顔でホームへと駆ける姿、サイレンが鳴る中、負けて涙する姿さえ、とても美しかった。そんな世界に憧れながら、私は何を残せているのだろうか？こんな風に、必死に何か追いかけたことがあっただろうか？と、彼等から学び、自問自答する時間が、とても尊いものだった。

そんなたくさんの「夏休み」が詰まったアルバムを閉じ、新しいものを手を伸ばすと、既に色々な景色が浮かび上がってくる。

私は夏にライブをすることが多く、それが一生忘れない思い出になったりする。そんな私の思い出が、誰かの大切な夏休みにも刻まれていたとしたら？気つけば幸せな気持ちと、夏の暑い日差しにやさしく抱きしめられていた。

放河灯有许多难忘的回忆

桑原由气

禅的鸣叫声，是开始的信号。

自长大后，或许很少有长时间的假期，但小时候的暑假，是很特别的。睡过头了，玩high了，忘记做作业了。那些时光都是无可替代的。

在我的暑假里有那些必不可少的东西，还有那些难忘的回忆。让我们翻开那有点褪色，已经变成了深褐色的相簿吧。

我在小学的时候，暑假有一大半都是在学生托管机构度过的。我记得是我自己跟父母说我要去那儿的。上午是写作业的时间，下午就到泳池里玩，或到附近的文化馆看动画，有时会出个远门去露营。因为不是自己上学的那间学校，虽然有许多不认识的小朋友，但我能交到许多新朋友，这让我感觉在小时候，自己的世界就在不断地拓宽。自己一个人在家里玩的话，肯定不会有这些邂逅和发现。在那本我暑假画满涂鸦的本子上，都画着一些在学校课堂上学不到的东西。

接着，翻到下一页。

在我的家乡长崎，有一种叫做“放河灯”的仪式。是制作一艘“精灵船”用灯笼和鲜花加以装饰，搭上已故之人的灵魂，再搬运到一个叫“冲洗处”的地方。因为要在炮竹声中搬运，所以这一天的镇上会回荡着巨大的炮竹声。“砰”地清脆的炮竹声，还有留着满头大汗在搬运船只的众人的声音。这是夏天的例行活动，我也曾经思念着我最爱的曾祖母，与众人一起搬运过船只。小时候我理解不了（这个仪式），但我想在这么热闹的氛围中，一家人围坐在一起，让回忆开花结果，曾祖母看到这一切，应该会为我们感到高兴吧。还有一件事，有一次装饰船只的灯笼里的火焰烧到了旗子，一家人慌忙灭火，这件事到现在为止也是我们家的一个笑谈，成为了我难忘回忆的一部分。

然后，在最后一页的是，甲子园。

在这几乎就快让身体燃烧起来的热浪中战斗着的棒球少年，还有那些为他们加油的人们。投球，接球，奔跑，流汗，呐喊.......。这每一个动作，都仿佛像放电影那般在我眼前过着。到最后也决不放弃的强悍，挥舞拳头跑垒时的笑容，就连那在哨声吹响时，因失败而落泪的样子，都非常的美。我边憧憬着那样的世界，同时也在问自己：“我还剩下什么？”“我能不能和他们一样去拼命地追逐某个东西？”从他们身上学来的，这自问自答的时间，是非常宝贵的。

合上塞满了这多个“暑假”的相册，伸手去触摸新事物时，眼前早已浮现出各种各样的景色。

我常在夏天开演唱会，那又将成为我这一生难忘的回忆。当我察觉到我的这个回忆也能铭刻在某个人的珍贵的暑假回忆里的时候我很幸福，我以这种幸福的心情轻轻地投入了炎热的夏日阳光的怀抱。