日本小4课文:古屋漏雨【久我Masahi的日语课堂】#51

ふるやのもり(古屋漏雨)
作者:瀬田 貞二 (せた ていじ)
昔、ある村の外れに、爺さんと婆さんが住んでいました。二人は、立派な子馬を育てていました。(从前,某个村庄的尽头,住着老爷爷和老奶奶。两人饲养着漂亮的马驹。)
さて、雨の降るある晩のこと、馬泥棒が、その子馬を盗もうと、厩(うまや)に忍び込みました。そして、厩の梁(はり)に上って、こっそり隠れていました。ところが、また、山の狼も、この馬の子を取って食べようと思って、厩の土間の藁山の中に、ひっそりと隠れていました。(且说,某个雨夜,偷马贼准备偷那匹马驹,于是潜入了马厩。然后爬上了马厩的房梁,悄悄躲了起来。然而,山中的狼也打算吃掉那匹马驹,正悄悄地躲藏在马厩泥地上的稻草堆中。)
そうとは知らず、爺さんと婆さんは、「こんな晩に、泥棒でも来たら、怖いなあ。」と話していました。(老爷爷和老奶奶浑然不觉,开始了谈话:“像这种夜晚,小偷什么的来的话,好可怕啊。”)
梁の上の泥棒は、「この俺が、恐ろしいのか。」と、束子のような髭面を崩して、にかにか笑っていました。(房梁上的小偷,那胡须像扫帚一样的脸上表情一变,笑了起来:“我很可怕吗?”)
すると、婆さんが、「爺さん、爺さん、お前は、泥棒よりも、何よりも、一番怖いものは、なんじゃ。」と訊ねました。(于是,老奶奶问道:“爷爷,爷爷,比起小偷,比起任何东西,你最害怕的是什么?”)
爺さんは、「そりゃ、山のお犬の、狼じゃ。」と答えました。(老爷爷回答道:“那当然是山中的狼。”)
泥棒は、狼に来られたら敵わんと思って、体を小さくしましたが、藁山の中の狼は、尖った牙をガチャガチャさせて、喜んでいました。(小偷想着如果狼来的话,敌不过它啊,并蜷起了身体,不过,稻草堆中的狼高兴地磨了磨尖锐的獠牙。)
ところが今度は、爺さんが、「婆さん、婆さん、お前がこの世で、一番怖いと思ってるものは、なんじゃ。」と訊ねました。(然而,这次老爷爷询问道:“奶奶,奶奶,在这个世界上,你最害怕的是什么?”)
すると、婆さんは、声を潜めて、「こんな古い家は、風吹きゃ振るう、雨降りゃ滲みる。おりゃ、泥棒よりも、狼よりも、古屋の漏りが、一番怖い。」と言いました。(于是,老奶奶,压低声音道:“像这种老旧的屋子,风一吹就要摇晃,雨一下就要漏水。我啊,比起小偷,比起狼,最害怕的是古屋漏雨。”)
爺さんは、大きな声で、「そうじゃ、そうじゃ。泥棒よりも、狼よりも、この世で一番怖いものは、古屋の漏りじゃなあ。」と言いました。(老爷爷大声道:“没错,没错。比起小偷,比起狼,这个世界上最可怕的是古屋漏雨。”)
さあ、これを聞いた、梁の上の泥棒と、藁の中の狼は、「この世で、一番怖いという、古屋の漏りと言うもんは、どんな化け物だろう。」と、肝が震えるほど怖くなって、体を縮めておりました。(那么,闻言,房梁上的小偷和稻草堆中的狼都胆战魂惊地蜷起了身子,道:“这个世界上最可怕的‘古屋漏雨’到底是怎样的怪物啊?”)
そのうちに、雨がざんざんと降ってきて、古い家のあちこちで、雨漏りがぽつりぽつりとしてきましたから、爺さんと婆さんは、一緒に、「そら、古屋の漏りが出た。」と叫びました。(渐渐地,雨倾盆而下,古屋到处都滴答滴答地开始漏雨,于是老爷爷和老奶奶异口同声地叫了起来:“看啊,古屋漏雨来了啊。”)
その途端に、ぽとん。梁の上の泥棒の首っ玉に、雨漏りが一雫、垂れました。(那时,一滴漏雨滴答一下滴落在了房梁上的小偷的脖子上。)
「ひゃあ、古屋の漏りじゃ。」泥棒は、声を上げて、何かに構わず飛び下りました。飛び下りた所は、藁山の上で、中の狼は、何やらどすんと重い物に潰されて、「きゃあ、古屋の漏りじゃ。」(“哇,是古屋漏雨。”小偷叫了起来,不管三七二十一地跳下房梁。跳在了稻草堆上,稻草堆中的狼被什么很重的东西压到,叫道:“哇,是古屋漏雨。”)
慌てて、土間へ飛び出しました。(狼急冲冲地跑出了泥地房。)
泥棒の方は、ひょいとそれを見て、この家の子馬が逃げるのかと、慌てて、その背中に飛び乗りました。(小偷瞥到了这一幕,以为是这家的马驹逃跑了,便急冲冲地跳到了它的背上。)
狼は、いよいよ古屋の漏りに取り憑かれたと、肝を潰して、走りに走りました。泥棒の方は、振り落とされては大変と、狼の両耳を、無我夢中で握り締めました。そうすればするほど、狼は、走るも走らんも、風のように飛ばすし、泥棒は、蜱(だに)のようにくっついて、雷が鳴っても離さんと、しがみついていました。(狼以为自己被古屋漏雨附身了,胆战心惊地跑啊跑。小偷则害怕自己被摔落,拼命地握紧狼的双耳。越是握紧,狼越是像风一样飞奔,小偷像蜱虫一样贴着狼,就算打雷了也不放手,紧紧地抓住狼。)
こうして、野を越え谷を越えて、夜っぴてかけるうちに、夜が明けました。泥棒は、辺りが明るくなってみると、奥山の奥で、自分の乗っているのが狼だと分かって、死ぬほど驚きました。(像这样,一整夜越过原野,越过山谷,天渐渐地亮了。当周围渐渐亮起来时,小偷发现自己在深山老林里,骑着的是狼,便大惊失色。)
「何とかして、逃げなけりゃならん。」と思っているうちに、大木(だいぼく)の枝が垂れ下がっている下を、駆け抜けようとしました。(“必须想方设法逃跑。”小偷如此考虑着的时候,正要穿过大树垂下的树枝下。)
「今だ。」と思って、泥棒は、狼の耳から手を離して、その枝にぶら下がりました。そして、「きっと、狼が戻って来るから。」と用心して、その大木の洞穴に隠れていました。(“趁现在。”小偷想着,便松开了狼的耳朵,悬挂在那根树枝上。然后,警戒着“狼肯定会回来的。”,于是藏在了大树的洞穴里。)
一方、狼は、ようやく空身になって、山の獣の仲間の所に、転がるように帰ってきました。(另一方面,狼终于一身轻,然后滚也似地回到了山中的野兽同伴们的所在之处。)
「いやはや、皆、聞いてくれ。この世の中で一番怖いという、古屋の漏りと言うもんに、俺は背中に乗られて、昨日から今まで、かけ通しにかけて、ようやく命だけ助かって、戻ってきた。こんな怖いやつに会ったことがない。あいつがいては、俺達は、安心してこの山に住んでいられない。誰か、退治してくれまいか。」(“哎呀,大家,听我说。我被这个世界上最恐怖的‘古屋漏雨’骑在背上,从昨天一直跑到现在,终于得救而归。我从未遇到过如此恐怖的家伙。只要那家伙在,我们就无法安心地住在这个山里。谁去消灭它?”)
こう、獣の頭の狼が言いますので、獣達は、一番知恵のあるという猿を、古屋の漏り退治に差し向けることになりました。(作为野兽首领的狼如此说道,于是,野兽们当中最聪明的猴子被派去消灭‘古屋漏雨’。)
猿は、得意になって、狼に案内させて、大木の所へ参りますと、「なるほど、古屋の漏りは、この洞穴にいるに違いない。狼どんは、離れて見ておれ。今、俺が、この尻尾で探ってみるから。」(猴子得意洋洋,被狼带到了大树的地方。然后道:“原来如此,古屋漏雨一定在这洞穴里。狼殿下离开一点看着。我现在要用尾巴刺探刺探。”)
こう言って、猿は、自慢の尻尾を、洞穴の中に差し込みました。何しろ、猿の尻尾というのは、両手で手繰って三十三度も手繰れるくらい、長い長い尻尾だったので、どんなものでも、巻き付けてしまうはずだったのです。けれども、泥棒は、猿の尻尾を、木から下がった蔓かと思って、どんどん手繰って登り始めました。(如此说着,猴子把引以为豪的尾巴伸入了洞穴中。毕竟猴子的尾巴长到几乎可以用双手缠三十三下,无论什么都可以缠绕住。然而,小偷以为猴子的尾巴是树垂下的藤蔓,渐渐拉着尾巴攀登起来。)
そして、尻尾の根元をぎっちり握って、洞穴から外へ出ようと、足をうんと踏ん張りました。猿は表で、さては古屋の漏りがかかったと、これもうんと踏ん張りました。泥棒と猿が、内と外とで、ありったけの力を出して、うんうんと踏ん張るうちに、ぷつんと、尻尾がちぎれました。そして、泥棒は、穴の中に真っ逆様。(于是,小偷整个握住尾巴根,准备去洞穴外,脚用力一踩。猴子以为古屋漏雨上钩了,便也在外面用劲。小偷和猴子,一个在内,一个在外,使出了全部的力气,用着力的时候,嘣地一声,尾巴揪断了。于是,小偷头朝地摔在洞穴中。)
猿の方は、弾みを食ってつんのめり、顔中土で擦りむいて、その怪我で、顔を真っ赤にしてしまいました。(猴子则被弹出,猛地向前摔倒,整张脸被土蹭破,因此满脸通红。)
狼は、それから村へ近付かなくなりましたし、猿は、今でも真っ赤な顔をしています。(从此之后,狼再也不接近村庄了,猴子如今依旧满脸通红。)
猿の尻尾は、ぷつん。(猴子的尾巴断了。)
話はこれで、おしまい。(故事到此结束。)

词汇
外れ(はずれ):尽头;未中、不中
束子(たわし):刷帚
夜っぴて(よっぴて):整夜、通宵
垂れ下がる(たれさがる):下垂、耷拉
差し向ける(さしむける):派遣、打发;指向、对准
手繰る(たぐる):牵、拉、勾;追忆、追溯
ちぎる:撕碎、把东西切成小块或小段;揪掉
真っ逆様(まっさかさま):头朝下、倒栽葱
つんのめる:向前摔倒
ぷつん:咬、刺、切断东西时发出的声音及其状态;消息、联系中断

作业
1.读课文
2.根据示例完成图片练习:


