【GPT机翻】战国小町苦劳谭 (戦国小町苦労譚)- 166 [千五百七十七年 六月上旬]
书名 战国小町苦劳谭
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作者: 夹竹桃
原作:http://ncode.syosetu.com/n8406bm/
翻译工具:ChatGPT
*机器输出的翻译结果UP未做任何修正,仅供试阅。标题章节号为原翻译版的顺延。*
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千五百七十七年 六月上旬(*原文网页序列号 - 190)
とにかく時間を要した出陣とは対照的に、静子の帰還はあっさりとしたものだった。
不管怎样,与需要花费时间的出征形成鲜明对比的是,静子的归来非常顺利。
元々期間が七日のみと定められており、途中で退場することが織り込み済みであったためか、戦後処理等を全て丸投げにして尾張へと帰投する。
最初已经规定了只能待七天,预算了可能会在途中离开,因此把战后的处理等一切都交给他人,然后返回尾张。
本来であれば京に立ち寄って近衛前久(さきひさ)に報告をし、更には安土でも一泊して信長に謁見して報告をするべきなのだが、二人ともが静子の速やかな帰還を促したため電話での報告を済ませるのみで尾張へとたどり着いた。
本来应该先到京都向近卫前久报告,然后在安土逗留一晚去拜见信长并做汇报。但由于两人都催促静子尽快回来,只通过电话进行了汇报,然后直接来到了尾张。
「お帰りなさいませ静子様。諸々準備が整っておりますれば、まずは長旅の疲れをお流し下さい」
"欢迎回来静子女士,如果一切都准备妥当的话,请先放松一下疲劳的身体。"
「ありがとう。お風呂が恋しかったところだから、早速頂かせてもらうね。留守中は変わり無かった?」
"谢谢。我正想念洗澡,我现在会马上去洗。我离开时,一切都没变吧?"
「特別にご報告差し上げねばならないようなことはございません」
“没有需要特别报告的事情”
留守を預かる彩の頼もしい言葉に安堵すると、静子は旅装を解いて風呂に浸かり、その間に準備されていた食事を取る。
听着被留守的孩子所信任的安慰,静子松了一口气,脱下旅游的衣装泡了个澡,然后吃了准备好的饭菜。
食後のお茶を味わいつつ、深く息を吐き出してやっと自分の家に帰ってきたのだという実感がわいた。
品尝着饭后的茶,深深地呼出一口气,才有了回到自己家里的实感。
自室に戻った静子は少々だらしないとは思いつつも、床に大の字に寝そべって思い切り手足を伸ばして天井を見上げた。
回到自己的房间后,静子虽然觉得有些懒散,但还是躺在床上,舒展双臂和双腿,仰视着天花板。
静子が全身を使って自宅の気楽さを堪能したころを見計らったかのように、小姓から来客を告げられる。
就在静子全身放松享受家中悠闲时,似乎恰好来自小侍从的访客通报。
慌てて身繕いをした静子は、小姓に客を通すように返すと、それほど間を置かずに一人の男が穏やかな笑みを浮かべながら入ってきた。
匆忙整理好衣裳的静子,让侍者引导客人进来。没过多久,一个男子带着温和的笑容进来了。
「此度(こたび)のご遠征まことにお疲れさまでした。調査の結果をご報告しても宜しいでしょうか?」
“这次远征真的辛苦了。可以报告一下调查的结果吗?”
「ええ、構いません。お願いします」
「好的,没问题。拜托了。」
静子に正対して座した男は、静子軍の諜報を一手に担う真田昌幸その人であった。彼はにこやかな表情のままにとんでもない爆弾発言を投下する。
面对着静子坐着的男人是负责静子军情报的真田昌幸。他保持着微笑的表情,却说出了震惊人心的话语。
「今回の騒動に於ける真の狙い、それは静子様の暗殺にあったようです」
"本次事件的真正目的似乎是暗杀静子女士。"
「なるほど。矢面に出てこない私を引きずり出すため、教如に暴挙を起こさせたという訳ですか」
“原来如此。你是为了把我这个不愿出面的人拖出来,所以让教如采取了激烈行动,是这个意思吗?”
露骨に殺気を滲(にじ)ませる才蔵を静子が手で制しつつ、昌幸に続きを促した。彼は首肯すると今回の顛末を語りだす。
静子用手制止了才藏散发出的明显杀气,然后促请昌幸继续讲述。昌幸点了点头,开始讲述这件事的经过。
「従来五摂家の間にはそれほど大きな格差というものがなく、互いに絶妙な均衡を保っておりました。それが今や近衛家の完全な独り勝ち状態となり、他四家との間に明らかな格差が生まれております。また近衛家に近い鷹司家も影響力を伸ばしており、残る三家としては面白く無い状態となっています」
「以前五个摄家之间没有太大的差距,并且彼此保持着微妙的平衡。但现在近卫家已经完全处于胜利地位,与其他四家之间出现了明显的差距。与近卫家接近的鹰司家也扩大了影响力,对于剩下的三个家来说,形势并不乐观。」
「それで近衛家が飛躍する端緒となった私を排除すると? 余りにも短絡的すぎますし、そもそも義父上を侮り過ぎです。確かに近衛家とは緊密な関係にありますが、たとえ私が命を落としたからと言って、その屋台骨が揺らぐようなことはありません」
“因为我成为了让近卫家翻身的契机,所以要排除我吗?这太过短视,而且还太过侮辱岳父大人了。虽然近卫家与我有着亲密的关系,但就算是我牺牲了,也不会动摇它的基础。”
近衛家は他の五摂家と異なり、静子の手掛けた産業に対して出資を行っており、確固とした経済基盤を築き上げている。
近卫家与其他五摄家不同,向静子经营的产业进行投资,建立了牢固的经济基础。
そこで得られた利益をさらに再投資して資金を増やし、今や公家の間では無くてはならない情報源となった『京便り』を発行するメディア王となった。
因此,他们用这些利润进行再投资以增加资金,并成为现在是公家必不可少的信息来源的“京便”发行媒体的老板。
継続して利益を享受できる体制を構築し、かつこれまでに無い定期新聞による情報支配を勝ち得た近衛家は盤石だ。
建立了能够持续享受利润的体系,同时通过前所未有的定期报纸信息控制获得胜利的近卫家族已经非常稳固。
この頃は軍備にも力を入れ始めた近衛家に隙は無く、直接的な暴力に訴えられても対処できる状況となっている。
这段时间近卫家开始加强军备,没有漏洞,即使直接使用暴力也可以处理。
「事前に掴んでいた情報では朝廷、延(ひ)いては公家の復権を掲げていましたが、別口の交流手段を持っていたようで御身の暗殺を企てておりました」
提前获得的情报显示,朝廷和公家提出了复权的口号,但似乎持有不同的交流方式,企图暗杀贵族。
「流石は権謀術数の渦巻く伏魔殿で生き抜いた方々ですね、我々はまんまと出し抜かれたという訳ですか。判り易い餌を目に付くところに置いて、本来の目的を隠すのは基本。しかし、彼らを出し抜いた気になっている我らには効果覿面(てきめん)でしたね。今後は気を引き締めて掛かりましょう。尤も彼らに『次』があればですが」
“他们真的是在权谋术数的漩涡中生存下来的人,我们被他们成功地欺骗了吗?将易懂的诱饵放在显眼的地方,掩盖真正的目的是基本技巧。不过,我们现在觉得自己打败了他们,这是非常有效的。但前提是假如他们有下一步计划的话。从现在开始,我们必须提高警惕。”
「はい、二条家当主の昭実(あきざね)は此度の騒動を画策したとして壱岐国(いきのくに)(現在の長崎県に属する離島。九州と対馬の間に位置する)へと島流しとなります。また九条家や一条家にも監査が入ることになり、二家の関与は証拠不十分(・・・・・)となる見込みです」
“是的,二条家的当主昭实被指控策划了这次骚动,将被流放到壹岐国(一个位于対馬和九洲之间,现属于长崎县的离岛)。九条家和一条家也将接受审查,但是二家的涉及可能因证据不足而不成立。”
証拠不十分というのは表向きの物であり、当然のように前久は処罰に足りうる証拠を確保している。しかし五摂家の半数以上を巻き込んだ不祥事となれば、朝廷での力関係が一新されてしまい予測不可能な勢力の台頭を許しかねない。
证据不足只是表面的说辞,前久自然已经确保了足以惩罚的证据。但如果牵涉到五摄家一半以上的丑闻,朝廷的力量关系将会被完全颠覆,可能会让不可预测的势力崛起。
そうした裏事情もあって九条家や一条家については意図的に見逃され、首謀者であった二条家のみにターゲットを絞っている。とは言え、お咎めなし等といったことは当然あり得ない。
由于存在类似的内部问题,九条家和一条家被故意忽略,目标仅限于二条家作为首谋者。然而,这并不意味着没有任何惩罚或后果。
九条家や一条家の持っていた各種利権や特権などの多くを取り上げられ、長きに亘って蓄財していた財産も吐き出させられている。その上に監査役という名のお目付け役が常駐することを飲まされていた。
九条家和一条家持有的各种利益和特权都被收回,他们长期以来积累的财产也被迫清算。此外,他们还被迫接受名为审计员的监督。
「流刑(るけい)ですか、それも壱岐とは随分遠いですね。天皇家とも縁戚関係にある五摂家の当主を死罪にする訳にはいきませんが、死罪よりも尚辛いと言われる流刑、それも西国の果てですから恩赦は無いのでしょうね」
"流放吗?而且离壹岐相当遥远啊。虽然无法处决天皇家和与之有亲戚关系的五摄家当主,但流放被认为比死刑更为痛苦,而且还是在国家的西部边缘,所以恐怕不会有特赦。"
「たとえ大赦(たいしゃ)があっても赦免されることは無いと言い含められての流刑となります。こうした場合、向かう途中で身包(みぐる)みを剥がされ辿りつけないこともあるのですが、足満殿が殊(こと)の外お怒りのようで精鋭を護衛に付けて送り届ける上に、壱岐国の有力者にも渡りをつけたそうです」
"即使有大赦,也无法获得赦免并被流放。在这种情况下,可能会在途中被剥光身衣且难以到达目的地。但是,足满殿非常生气,派遣了精锐保护并将其送往壹岐国有影响力的人那里。"
「足満おじさんは滅多なことで怒らないんだけれど……逆鱗(げきりん)に触れるような事をしたのかな? まあ、それは置いておくとして。三家は随分と大人しく沙汰を受け入れましたね」
“足满叔叔很少生气……不知道是触怒了他的逆鳞吗?不过,先不管这个。三家确实很乖乖地接受了处理呢。”
「彼らも此度の一件で、我らの手が如何に長いかを思い知ったのでしょう。隠し事が通じないとなれば萎縮してしまうものですよ。捲土重来(けんどちょうらい)を期しての面従腹背ではあるのでしょうが、そう上手くは行きますまい。それにしても此度の本願寺攻めはお見事でございました。直々にお褒め頂いたと菊より聞き及んでおります」
他们也在这次事件中认识到我们的手段有多厉害。如果藏着掖着的话,他们便会退缩。虽然他们可能会翻盘,但事情并不会那么顺利。不过这次攻打本愿寺确实非常出色。菊听说您亲口表扬了这次攻打。
「天の代理人たる帝に逆らうと、天罰が下るという事を知らしめることにはなったでしょう。上空からの攻撃があるという事が、常識の埒外(らちがい)だからこそ通じる一手です。何度も使える策ではありません」
“反抗皇帝作为天的代理人,将会招致天罚。从空中进行攻击,这种举动是一种超越常识的策略,因此只能使用一次或两次。”
「巷(ちまた)でまことしやかに囁(ささや)かれる噂(・)では、『日が姿を隠した暗中に天より劫火(ごうか)が降り注ぎ、水を掛けても消えぬ炎の壁となって一切合切の不浄を焼き払った』そうです」
在街巷里流传着一则传闻,据说“在天日隐没的黑暗中,灾难之火从天而降,化为无法熄灭的烈焰之墙,将所有的污秽一扫而空。”
都合の良いように噂を操作した張本人が抜け抜けと言い放つ。これは天罰であり、神仏に仕えるべき僧が天子に弓引くことがどのような結果を招くかを印象付けている。
擅自操纵流言蜚语的人放肆地放言。这是天谴,告诫那些应当侍奉神佛而却贪求天子宠幸者的下场。
「噂はそれで良いとして、教如たちが籠城を選んだ理由は判りましたか?」
“关于谣言不说,你明白教如他们选择据守的理由了吗?”
「はい。元より石山本願寺は難攻不落の要害です。御身の助力を得られる期限を耐え忍べば、朝廷側より和睦の申し入れがある手筈だったようです」
“是的。从一开始石山本愿寺就是攻不破的堡垒。如果您能够坚持得到援助,据说朝廷方面会提出和睦的提案。”
武田を破った立役者たる静子をして落とせないのであれば、長期化するほどに戦費が重く伸し掛かることから帝を説得して和睦に同意させることも難しくはない。
如果无法击败战胜武田的立役者静子,随着战争的持续,战争费用会变得越来越重,因此说服天皇同意和平也不是不可能的。
本来籠城というのは援軍が来る当てがあって成り立つ戦法なのだが、僅か七日間を耐え忍べば良いのであれば十分に分の良い賭けである。
原本围城战术是基于有援军会到来的预期而成立的,但如果只需忍耐七天,那么这是非常有利的赌注。翻译为:围城战术原本是建立在预期有援军会到来的基础上的,但如果只需要忍耐七天,那么这是一个非常有利的赌注。
「先ほど齎された報告によりますと、教如たちは補給の用意すらなく持ち込んだ物資のみで耐える手筈だったようです。期限ありきで戦闘にも消極的であれば、十分に凌げる見込みだったのでしょう」
“根据刚刚提供的报告,教如们似乎没有做好补给的准备,只能靠带进去的物资坚持下去。如果以有限的时间为前提,消极对待战斗,他们本来完全有可能坚持下去。”
「如何に情報伝達が遅いとはいえ、そろそろ我が軍に対して城壁がそれほど堅固な防壁となり得ないことぐらい伝わりそうなものですが、彼らは情報収集を怠ったのでしょうね。二条家からすれば七日間さえ教如が耐えてくれれば、和睦はならずとも良かったのでしょう。食糧すらない懐事情は知られているわけですし、如何様にも料理できますね。知らぬは教如ばかりなりと言うわけですか……」
“虽然信息传递方式很慢,但是现在应该已经传达到他们了,城墙已经不再是我们军队面对的坚固防御墙,可惜他们没有及时收集情报。对于二条家来说,只要教如能够忍耐七天,就算没有和睦也没关系。他们的财政状况已经众所周知,可以自己动手烹饪。这就是所谓的“只有教如不知道”吗……”
哀れですね、と静子は小さく呟いた。
可怜啊,静子轻声地嘀咕道。
後に『本願寺の乱』と呼ばれることとなる騒動は一段落した。戦後処理については信長と前久が請け負ってくれているため、静子は再び後方支援を総括することとなる。
之后被称为“本愿寺之乱”的事件已经平息。关于战后处理,信长和前久已经承担了责任,因此静子将再次负责总结后方支援。
因みにかつて信長が認めたように、宗教としての本願寺派は存続を許されているのだが、今回の騒動によって信徒は大きく二つに分かれることになった。
顺便说一下,像信长早先认可的那样,本愿寺派作为一种宗教得以存续,但由于这次事件,信徒们分成了两个大派。
即ち顕如及び下間(しもつま)頼廉(らいれん)が率いる信長に従い政治的野心を放棄し、積極的な拡大政策をとらない西本願寺派が一つ。教如が唱えた思想に共感し、今は状況が悪いため雌伏しているが、いずれはかつての栄光を取り戻さんとする東本願寺派である。
即为顕如和下间依赖廉率领的信长政府放弃政治野心,不采取积极的扩张政策的西本願寺派。教如宣扬的思想得到了共鸣,现在处于潜伏状态,但最终会重振昔日的辉煌,这是东本願寺派的目标。
しかし、今回の『本願寺の乱』が信徒に与えた影響は大きく、大多数が西本願寺派となり、東本願寺派は少数の過激派が集う先鋭的な組織となった。
然而,“本愿寺之乱”对信徒产生的影响巨大,大多数人成为了西本愿寺派的信徒,而东本愿寺派则成为了由少数激进分子组成的尖端组织。
これに対して信長は本願寺そのものに対して既に興味を失っていた。政治に対して色気を出さないのであれば、二つに割れようが三つに割れようが構わない。
对此,信长已经失去了对本愿寺本身的兴趣。如果不对政治产生兴趣,那么无论分为两部分还是三部分都无所谓。
お目こぼしの範疇を超えた途端に、徹底的に弾圧すれば良いというのが彼のスタンスだ。武装勢力としての本願寺が潰えたことで、長く争い続けた織田家と石山本願寺との対立に終止符が打たれることとなる。
一旦超出了受照顾的范围,他的立场就是全面打压。由于以武装力量身份存在的本愿寺灭亡,结束了长期与石山本愿寺对立的织田家争斗。
これによって朝廷を近衛家が主体となって掌握し、畿内に於ける織田家の支配は盤石なものとなった。
由此,近卫家主导夺取了朝廷的控制权,織田家对畿内的统治牢固无比。
「とりあえず中央は押さえたけれど、西にも東にも課題が残るね。毛利を何とかしないと九州なんて、とてもとても」
“暂时中部我们已经掌握了,但是西边和东边还有问题留下。如果不解决毛利这个问题,九州地区就非常非常危险。”
「毛利も随分と粘ってはいるが、徐々に押されているようだな」
「毛利也相当粘着,但似乎逐渐受到了压制。」
自室に備え付けた書棚を整理しながら呟いた静子の言葉に、居合わせた長可が軽い口調で応じる。日ノ本の勢力図は着々と織田家の色に染められている状況だ。
当静子整理她房间里的书架时,她低声自语。长可用轻松的口吻回应她,说日本的势力图正在逐渐地被织田家的旗帜所染色。
西国最大にして最後の大国と言われる毛利家も明らかに旗色が悪い。如何に強固な支配体制を築き、数多くの勇猛果敢な将兵を抱えていようとも、それだけでは今の織田家には抗しきれない。
据说毛利家是西国最大、最后的大国,但现在明显的局势难看。即使有着坚固的统治体系和众多勇猛果敢的将士,仅凭这些对于现在的织田家来说也无法抗衡。
現時点で積極的に毛利征伐に関与しているのは秀吉軍のみだが、これに対抗するために毛利は全軍で当たっている状態だ。毛利には余力が少ないが、織田軍には第二第三の矢を放つ用意がある。
目前积极参与攻打毛利的只有秀吉军,而毛利则动员全军作为对抗。毛利方面实力有些不足,但織田军已做好了第二第三轮攻击的准备。
「毛利家は配下の国人同士がそれぞれに力を持っていて、それらの意見を纏める合議制を取っている。でも、事態がここまで逼迫(ひっぱく)してくると上意(じょうい)下達(かたつ)で無いと対応が間に合わないのよ。乱世が終わり、いくさが遠くなれば合議制でも良いのだけれど」
「毛利家的属下国人彼此之间都有一定的实力,并采取汇集各自意见的协商制度。但是,当形势变得如此紧急时,如果不是由上级下达命令,很难做出应对措施。如果乱世终结,战争逐渐远去,协商制度也是可以的。」
「そんなものか」
“就这样吧。”
「興味なさそうね、勝蔵君は」
“看起来不感兴趣,胜藏君。”
「俺に政治的手腕を期待する方が悪い。そもそも森家は兄が継ぐのだ、弟の俺が政治に明るいとなれば良からぬ欲をかく輩も出てくるだろう」
「对我期望政治手腕的人是错的。毕竟,森家是由长兄继承的,如果我这个弟弟在政治上很明亮,可能会引起不好的欲望。」
「確かにそうね。上様の覚えが目出度く、色々な意味(・・・・・)で有名な君が政治に口を出せば、森家に火種を生むことになる気がするね」
“确实是这样。如果上大人记忆不错的话,君已经因为各种意义(……)而出了名,如果你插手政治,可能会给森家带来麻烦。”
「だろう? だから俺は政治に興味を持たず、兄貴の矛であれば良いのだ。兄貴が頭で俺は腕だ。それで良い」
“是吧?所以我对政治没兴趣,只需要跟随兄长的怀抱就好了。兄长是脑子,我是手臂。这样就好了。”
「随分と勝手に動く腕だけれどね」
“虽然手臂动作很自由,但是啊”
そう言って静子が苦笑していると、開け放たれた戸を叩く音がする。
这时,静子苦笑着说出这句话,外面传来了敲门声。
「何やら楽しそうなところ悪いんだが、少しいいかい?」
“好像有点有趣,虽然不太好,你觉得可以吗?”
静子と長可の会話に割り込んできたのは慶次であった。普段は会話が途切れた頃合いを見計らって声を掛ける慶次が割って入ってくるほどだ、緊急の用件なのかと思った静子は慶次へと向き直る。
插嘴静子和长可的谈话中的是慶次。通常情况下,当谈话停顿时,慶次会说话,但此时他打断了。静子以为这是紧急事项,所以转向慶次。
「実は四六が角力(すもう)をやりたいと言い出してな。流石に本気で取り組むとなると怪我もするし、気を付けていても万が一の事があるからな。先に断っておこうかと……」
“其实四六说想要参加角力比赛。如果认真去做的话可能会受伤,即使小心照顾也难以避免意外。我想先说不参加。”
「制止するという選択肢は無いのですね?」
“没有制止的选择吗?”
「俺がやらすのならまだしも、四六が自ら望んだことだ。それを危険だからという理由だけで静っちは止めないだろう?」
“如果是我命令他做的,情况还好。但这是四六自己想要做的事情。你不会因为觉得有危险就阻止他吧?”
からかい混じりの静子の問いに慶次が見事に返してみせる。四六も元服を迎え、己の事は己で判断していかねばならない。親である静子がいちいち口を挟んでいては、彼の成長を阻害することとなる。
在静子逗趣的提问中,景次巧妙地回答了。四六岁已经成年,必须自己做出自己的判断。如果父母静子一直干涉,将会妨碍他的成长。
明らかに四六にとって害悪となるならば止めもするが、危険を認識した上でそれでも尚やりたいと思ったのであれば、安全対策を講じはしても止めることはしない。
如果明显会给其他人带来伤害,就必须停止;但是如果已经意识到危险,还是想继续做的话,就必须采取安全措施,不会停止。
「頸椎、首から頭にかけての大怪我だけはしないように気を付けてくださいね」
请注意不要受到颈椎、头部等重伤。
「ああ。四六次第ではあるが、加減が出来る者と取り組ませるし、最初は俺が胸を貸すからな」
"嗯。这取决于情况,但会让那些能掌控好程度的人去处理,而且一开始我会提供帮助。"
了承を得た慶次は、軽く己の胸を叩いて静子の部屋を後にした。個人の武勇がそれほど重要とされない時代を前にして、四六が何を思って角力をしたいと考えたのかに静子は思いを馳せる。
得到了批准,庆次轻轻拍了拍自己的胸膛,离开了静子的房间。静子想到,在那个个人英勇并不被如此重视的时代,四六为什么要考虑角力,这让她想了很多。
しかし、女である自分には理解しづらい男の世界も有ろうと納得する。上下関係を超えた体のぶつかり合いで育まれる関係性もあるのかもしれない。そう思い直した静子は、目の前の仕事に立ち戻った。
然而,作为一个女性,很难理解男性世界的存在也能够接受。也许存在着通过超越等级制度的身体接触而培养出来的关系。想到这一点,静子重新回到眼前的工作。
「……何処でも食糧難が問題になっているね」
"无论哪里都存在粮食短缺问题呢"
「毛利か?」
"毛利是谁?"
静子の部屋に置かれている各国の戦況を示した模型を動かしながら長可が問いかける。静子の許には兵站に関するあらゆる情報が集まってくる。
长可一面动着展示着放在静子房间里的各国战况模型,一面询问静子。静子那里聚集着有关补给线方面的各种情报。
この処、動きが少なくなっている北条に対し、毛利に関する報告書は数倍に達する勢いで届けられていた。これは北条に関する情報を軽視しているのではなく、北条全体が機能不全を起こしており、報告すべき事象が少なく活動事態が緩慢になってきているためであった。
在这里,关于毛利的报告以数倍于北条的速度递交,而北条的活动却变得相对减少。这并不是轻视北条的信息,而是因为整个北条出现了功能障碍,因为可报告的事件很少,活动本身变得缓慢。
これに対して毛利は活発に動き回っていた。現時点での最前線は秀吉軍が攻めている強固な守りを持つ鳥取城となり、火砲を扱える兵のいない秀吉軍はこれに手を焼かされていた。
在这方面,毛利热衷于四处活动。目前的前线是秀吉军攻打着拥有牢固防御的鸟取城,而缺乏操纵火炮的士兵的秀吉军则束手无策。
鳥取城を預かる城主は吉川(きっかわ)経家(つねいえ)であり、文武両道の優れた人物である。彼が鳥取城の城番を任されるに際して与えられた恩給は六百石の加増であり、死地へ向かうことを思えば些(いささ)か心許ない。
鸟取城的城主是吉川经家,他是一位文武皆能的优秀人物。当他被任命为鸟取城的城番时,他被赐予了额外的600石酬金。考虑到他将前往冒险的危险地带,这令他感到有些不安。
しかし、領地経営に行き詰まり領土問題でも紛糾していた吉川はこれを承諾する。そして手勢の家臣数百名を従えて鳥取城に入った吉川は、たちまち問題に直面した。
然而,由于领地经营陷入困境并卷入领土问题,吉川批准了这项请求。随后,身边带着数百名家臣的吉川进入鸟取城,迅速面临了问题。
それは城内に備蓄されていた兵糧が彼の予想を超えて少なかったことである。これでは籠城はおろか、兵を維持するのもままならないと焦った吉川が兵糧米を集めるよう配下に命ずるも、付近一帯は不作続きで思うように米が集まらなかった。
城内备存的军粮比他想象中少得多,吉川急于解决维持城池和士兵生存的问题,命令手下收集军粮,可周围地区一直歉收,无法如愿。
軍需物資の根幹である米が足りないのだから、矢玉や武具などは推して知るべしである。軍馬も多くは売り払われたのか、最低限の伝令を除けば騎馬隊を編成することすら出来ない有様だ。
由于军需物资的核心——大米供应不足,所以必须慎重考虑增加箭矢、武器等的存储。似乎大部分军马也已被卖出,基本上除了派遣必要信使之外,无法编制骑兵队。
「供給不足であるため米を売れば軍備は手に入る。代わりにただでさえ少ない米が底をついてしまう。しかし、吉川には秀吉軍が十月には撤退するであろうと言う目算があったの」
由于供应不足,如果出售米粮就可以获得武备。然而,这样做会导致本来就不充足的米粮供应更加短缺。但是,吉川的计算是,丰臣秀吉的军队有可能在十月份撤退。
「例年通りであれば十月には初雪が降る。そのまま雪が降り続けば、秀吉軍とて兵を引かざるを得ない。静子の良く言う『希望的観測』って奴だな。愚かなり、天候が人の思うままになるはずが無かろう」
如果照例每年十月都会下初雪,如果一直下雪,甚至秀吉的军队也难以继续行动。这只是静子所谓的“乐观主义者”的愚蠢想法。毕竟,天气并不总是如人所愿。
「朝廷が所持している資料や、間者たちにも調べて貰った結果を総合すると、ここ数年は十月頃には雪が降り始めていたそうよ。『二度あることは三度ある』って言うし、期待する気持ちも判るんだけどね。逆に『三度目の正直』って言葉もあるんだけどね」
据朝廷持有的资料和间谍们调查的结果综合分析,近几年十月开始就下雪了。虽然有句话说“三次必成”,我们也可以理解大家的期待。但反过来,“第三次就是诚实”的说法也是存在的。
「となれば、勝利を左右する要因は夏の終わりの収穫時期だな」
「如果这样的话,决定胜利的因素将是夏天结束的收获时期。」
収穫された米を手に入れられれば、多少降雪が前後しても鳥取城側の粘り勝ちが見えてくる。逆にそれまでに鳥取城を落とせれば秀吉軍の勝利となる。
如果能够得到收获的稻米,即使前后有些降雪,也能看到鸟取城一方的胜利。反过来,如果在那之前攻下鸟取城,那就是秀吉军的胜利。
兵糧の備蓄に心配がなくなった鳥取城を、秀吉軍だけで攻略できると静子は思わない。元より地の利は相手にあり、更に時間的制限まで加われば焦って損害が増えるというものだろう。
静子并不认为只靠秀吉的军队就能攻克兵糧充足的鸟取城。毕竟敌方拥有地理优势,在加上时间限制的压力,急于求成只会增加损失。
「毛利家からの援軍が期待できない状況で、吉川が無理に打って出るとは思えない。鳥取城は天然の要塞だから、亀のように守りを固めていれば負けは無い」
在无法期待毛利家援军的情况下,吉川不可能强行出击。鸟取城是天然的要塞,只要像亀一样坚守阵地就不会输。
「羽柴殿というか軍全体が、容易に常識外の戦果を挙げてしまう砲兵を嫌うからな。突破力に欠く状態では守りが崩せない。如何に羽柴殿の軍が勇猛だろうと、所詮人は雪には勝てない。積雪によって退路を断たれる前に退却せねば、全滅すらありうるだろう」
“因为丰臣大人或者说整个军队都厌恶那些能够轻易获得非常规作战成果的炮兵。如果攻击缺乏突破力,就无法打破敌人的防守。无论丰臣大人的军队再勇猛,毕竟人类无法战胜雪。在被积雪阻隔退路之前,必须撤退,否则甚至全军覆没。”
「そうね。故にこちらが取る手段は――」
"嗯,因此我们要采取的手段是……"
「兵糧攻め」
"兵粮攻打"
静子と長可の言葉が期せずして重なった。兵糧攻めは読んで字の如く、敵の兵糧補給を断って飢えによる自滅を待つ戦法だ。
静子和长可的话意外地重合了。兵粮攻打的意思就像文字一样,是一种战术,通过割断敌方的粮食补给来等待他们自己饿死。
史実に於いても秀吉が取った『鳥取の飢(かつ)え殺(ごろ)し』は有名であり、極限状態におかれた兵士たちは仲間の死体すら口にする飢餓地獄に陥ったという。
在历史上,秀吉采取的“鸟取饿死”是非常著名的。那些处于极限状态的士兵们陷入了饥饿的地狱,甚至将同伴的尸体都吃了。
この時の秀吉も同様の思考を辿っており、後に控える毛利の本城、吉田(よしだ)郡山(こおりやま)城攻めを考えれば多くの損害は許容できない。何より無駄な力押しを信長から禁じられており、秀吉の取りうる手段は少なかった。
这时的秀吉也沿用了相同的思考方式,考虑到毛利的本城和吉田郡山城的攻击将在未来发生,不能容忍太多损失。更重要的是,信长禁止了无谓的用力推进,秀吉可选手段有限。
「早い段階から兵糧の買い占めをすれば、相手に悟られて救援を呼ばれてしまう。逆に遅いと買占めに際して余計な金子(きんす)が嵩む。頃合いとしては北条攻めと同時期になる八月下旬から九月かな?」
「如果从早期开始囤积兵糧,敌人就会察觉并请求援助。反之,如果太晚开始,购买兵糧时可能会浪费额外的金钱。最好的时间是在攻打北条时,也就是8月下旬至9月左右。」
「青田刈り(敵に兵糧を調達させないために、青い穂が実っている収穫前の田から稲穂を刈り取ってしまうという作戦)をしても旨みが無いから、収穫後を狙うのが最良だな。しかし、それと静子に何の関係があるんだ?」
“因为即使采用杀鸡儆猴的策略(在敌人还未收获的田地上收割稻谷,以防止敌人获取粮食),也没有什么好处,最好的方法是等到收获后再行动。但是,这与静子有什么关系?”
長可は疑問を口にする。方面軍の司令官である秀吉がどのような作戦を取ろうとも、兵站の総司令である静子にはそれほど大きな影響がない。彼女は秀吉だけの面倒を見ているわけではなく、信長軍全ての兵站を統括する立場にあるからだ。
长可表示疑惑。无论方面军的总司令秀吉采取何种战略,总后勤指挥静子的影响并不大。她不仅关注秀吉个人的事务,还要负责统掌信长军队的全面后勤工作。
勿論毛利の動向に注意を払うのは当然だが、秀吉の行動を推測する必要はあるまい。長可に問われた静子は苦笑しながら答える。
当然要注意毛利的动向,但没有必要推测秀吉的行动。静子被长可问及时苦笑着回答。
「その羽柴様から緊急の依頼が届いたの。兵糧米を予定の倍融通してくれって」
“我们收到了羽柴大人紧急的请求。请提供双倍预定的粮食。”
「なんでまた米を? それも倍とは無茶苦茶だ。軍需物資はどの軍にも過不足ないように配布しているんだろう? 羽柴軍のみに追加を出すのはおかしいだろう」
“为什么又要米?而且还是加倍的数量,这也太过分了。军需物资应该是均衡分配给所有军队的吧?单独给羽柴军额外提供是不合理的。”
「現地での兵糧調達が思ったよりも難しいようでね。現時点で既に今年の収穫量が少ないことが予想されていて、更に双方の軍が米を常に消費するからね」
「在当地获取粮食比预想中更为困难。目前已经预测今年的收成量很少,而且两军都不停地消耗米粮」。
米の収穫量に期待が持てないということは、即ち米の持つ価値が上昇することを意味する。織田軍に於いては米本位制度とは異なる貨幣経済に移行しつつあるが、それでもまだまだ米の多寡によって経済が動くことは否定できない。
无法期待大米收成的情况意味着大米的价值上升。在织田军队中,虽然正在转向与大米主导的货币制度不同的货币经济,但经济仍然不可避免地取决于大米的供需。
寄り合い所帯である秀吉軍に於いてはこの影響が顕著であり、褒美などに米を望むものは決して少なくないのである。つまりいざとなれば食える米が最も重要であり、一度交換をしなければならない金子は訴求力に劣るのだ。
在豪门秀吉军中,这种影响尤为明显,许多人都期望通过奖励获得大量稻米。换句话说,在紧急情况下,能够获得稻米是最重要的,而金钱则显得不那么有说服力。
「軍全体で兵糧が枯渇気味なうえに、現地での収穫が不安定になったことで米を要求する配下が続出したみたいなの」
“军全体士气低落,加上当地收成不稳定,导致士兵们不断提出米饭要求。”
「なるほどな。羽柴殿は腹心が少ないから、下っ端であろうと下手に機嫌を損ねれば組織が崩壊しかねないのか」
“原来如此。因为羽柴大人没有亲信,所以即使是下属,如果破坏了组织的气氛也可能会导致组织的崩溃。”
「仕方なく、積極的に米を放出したところ冬までの備蓄が心許なくなったそうよ。羽柴様としては他領からの調達で賄うつもりだったのだけれど、何処もいくさの気配を感じてか総じて米の相場は高止まりしていて上手くいかなかったみたい。毛利攻めが頓挫しても困るから、融通はつけるつもりだけれどね」
据说出于无奈,他们积极释放了大量米粮,结果使得他们在冬季的储备变得不足。羽柴策划从其他地区采购来补充,但由于战事加剧,米价不断攀升,让他们遇到了困境。考虑到即使毛利攻势失败也不能轻言放弃,他们打算在必要的时候就放手一搏。
もっと早い段階で相談して貰えれば、他にも打てる手があったのになと静子は嘆息した。
静子叹息道:“如果早点向我商量的话,就可能会有其他的办法了。”
羽柴軍内では緊張感が高まっていた。他の方面軍はそれぞれに戦果を上げている。それに比べて自分たちはどうだろうか? 未だに鳥取城を攻略できないどころか、日に日に劣勢に追い込まれている気配すらある。
羽柴军内部紧张感增加。其他战线都取得了战果。相比之下,我们怎么样呢?我们甚至还不能够攻下鸟取城,每天都在陷入劣势。
二進(にっち)も三進(さっち)もいかない状況に秀吉は信長に泣きつこうかとも考えた。ここの処不手際続きにも拘わらず、挽回の機会を与え続けてくれている信長に泣きついたのでは流石に他の諸将に顔向けできない。
在陷入绝境的情况下,秀吉考虑向信长请求救援。尽管由于疏忽而出现了一些问题,但信长仍然给了他弥补错误的机会。如果他向信长求助,那么在其他将领面前就无法抬头了。
(何もかもが裏目裏目に出よる。ここが踏ん張りどころなのか、方針転換を図るべきか……)
(一切都不顺利,一直在事与愿违。现在是关键时刻,需要考虑改变策略……)
秀吉は心中で葛藤を続けていた。彼に齎される報告はおしなべて悪いことが多く、一向に好転の兆しが見えない。その状況下でも長たる秀吉は、自信に満ち闊達(かったつ)にふるまわねばならない。
秀吉内心一直在挣扎。他接到的报告总是充满了负面消息,情况始终没有好转的迹象。即便处境如此艰难,秀吉也必须保持自信、表现得豁达大度。
人の上に立つものが不安を晒していては、配下にもその不安は伝染して悪循環に陥ってしまうからだ。先の見えない状況で足掻くことに重い疲労を感じていた秀吉だが、そんな彼に転機が訪れた。
领导人如果表现出不安,那么他的下属也会被传染并陷入恶性循环。在不确定的情况下努力挣扎使秀吉感到了沉重的疲劳,但是,他的机会来了。
鳥取城攻めの戦況が芳しくないことを知った信長から、詳細な戦況報告をせよという報せと共に文官が派遣されてきた。秀吉はついに信長から見限られたかと憔悴したのだが、文官より託された信長の文を見て肚(はら)が座った。
得知鸟取城的攻势不利后,信长派遣文官前来要求详细的战况报告。秀吉一度以为自己已被信长所抛弃,心情非常糟糕。但是在看到信长的信后,他终于安心了。
「サルよ、其の方は持たぬ立場からここまで成り上がった。その際に幾つも失敗はしたが、それに臆することなく果敢に挑み続けたのでは無かったか?」
“猴子啊,那个人没有任何背景,但却成功地爬到了这个位置。虽然他曾经犯过许多错误,但是他并没有因此胆怯,反而勇敢地继续挑战,不是吗?”
思い返せば己はそもそも侍ですら無かったのだ。他者より目端が利くのと、頭の回転を活かした世渡りで成功してきたのだ。
回想起来,我本来根本就不是武士。我是凭借比别人更敏锐的洞察力和善于运用头脑的生存技巧获得成功的。
事がここに至っても殿は己に期待をして下さっている。その一事が秀吉の萎えかけていた心に芯を通した。
即使事情已经发展到这一步,殿下仍然对自己抱有期望。这一点深深地触动了秀吉濒临崩溃的心。
「万事が滞りなく進んでおると伝えられよ」
「万事が滞りなく進んでおると伝えられよ」翻译成简体中文为:传达万事顺利进行。
「流石にそれだけでは納得できませぬ。この戦況下でそのように判断される理由を伺えますか?」
「仅凭这些还无法让我满意。请问在这种战局下作出判断的原因是什么?」
「確かに今の戦況は思わしくない。しかし、優秀な部下が知恵を絞って考え抜いた作戦よ。不測の事態に対する備えさえあれば、恐れることは何もない」
“的确,目前的战况不尽如人意。但是,这是我们优秀的部下们经过深思熟虑设计的作战计划。只要做好应对意外情况的准备,就没有任何可畏惧的。”
「不測の事態に対する備えとは?」
"应对不可预测事件需要做哪些准备?"
「今年は不作が予想される。それに備えて既に相談役殿に追加支援の要請を送り、了承を頂いておる。それもこの先何が起ころうと対処できる莫大な支援を願い出たが、それも快く了承して頂けた」
“今年预计会不景气。为了应对这种情况,我们已经向顾问先生发送了额外援助的请求,并得到了批准。我们请求获得能够应对未来任何情况的大量支援,而他们也很乐意地同意了。”
「承知致しました。羽柴様がそこまで勝利を確信しておられるのであれば、上様もお喜びになられるでしょう」
“我已经明白了。如果羽柴大人对胜利那么有信心,那么上方也会感到高兴。”
あくまでも現時点では劣勢に甘んじているが、挽回するに十分な対策を打ったという言葉と、静子よりの追加支援を送るとの文を見せて納得させた。
尽管目前处于劣势,但通过采取足够的措施来挽回局面,并展示了静子的额外支援,使其信服。
他者に頼っている姿を見せたがらない秀吉が、明らかに助力を求めた証拠すら示して自信を見せたのであればと考えた文官は、現時点の詳細な戦況と今後の方針を確認して帰途に就いた。
如果秀吉不想展现出聚赖他人的形象,却有明显的请求帮助的证据,那么这位文官考虑到了确认现阶段的详细战况和今后的方针并离开了。
「しまった! 変に恰好をつけず火砲を回して貰うようにすべきであった……」
"糟了!应该不做奇怪的姿势,让火炮调整方向......"
文官に対して大見得を切った僅か数日後にして、秀吉は後悔で頭を抱えてしまっていた。兵糧に関しては十分な量を送って貰える段取りがついたが、そもそも打撃力が足りないという根本的な問題に解が出ていないのだ。
几天前,秀吉对文官大胆发表意见后,他感到很后悔。尽管已经有足够的士兵和粮食,但根本问题是他们的攻击力不够,这个问题还没有得到解决。
秀吉とて信長軍の重鎮である。静子が擁する火砲がどれほどの戦果を上げているかは、それこそ耳にタコができるほどに聞き及んでいた。籠城する相手に防壁を超えて大きな被害を及ぼせる手段は、正直喉から手が出る程に欲しい。
秀吉是信长军的重要成员。静子拥有的火炮在战场上取得了惊人的成果,使得大家耳熟能详。对于需要围城作战的敌人来说,我们真的非常需要能够超越城墙造成巨大损失的手段。
そんな秀吉の窮状を見透かしたように静子からの支援が到着した。兵糧は依頼した量の更に倍が届けられ、軍資金や調略に使用できる物資の他、虎の子である『擲弾筒(てきだんとう)』までもが届けられた。
就像看透了秀吉的困境一样,静子的援助到达了。他们收到了比要求的粮食更多的翻倍,除了军需资金和策略之外,他们还获得了宝贵的“榴弹炮”。
「ははは、流石は静子殿。わし程度の強がりなどお見通しと言うわけか。これでは負けられぬな」
“哈哈哈,不愧是静子大人。你能看穿我的虚张声势吗?这样的话我可不能输。”
ここまでのお膳立てを整えられては負けを想像することすら許されないだろう。
如此周到的准备,就算想到失败都是不被允许的。
「しかし、これだけの物資をすぐさま用意出来るとは、相も変わらず恐ろしいお方だ……」
"然而,能够立即准备这么多物资,仍然是令人恐惧的人物......"
届けられた物資の目録を見ながら黒田官兵衛は静子の先見性と、別次元の調達能力に舌を巻くしかなかった。
看着交付的物资目录,黑田官兵卫只能惊叹于静子的先见之明和超凡的采购能力。